西村賢太原作、山下敦弘監督『苦役列車』(公開中)の脚本を手がけた、いまおかしんじが監督を務める最新作『百日のセツナ』がこのほどクランクアップした。本作は「ラブ&エロス シネマ・コレクション 2ndシーズン”Autumn”」の1作として、シリーズ3週目の9月29日から池袋シネマロサに登場する。

 名匠クリストファー・ドイルがキャメラを務めたことでも注目を集めた『UNDERWATER LOVE—女の河童—』(11)の“カッパ”に続いていまおか監督がチャレンジするのは“ヴァンパイア”。吸血鬼のブラドは、命と引き換えに女吸血鬼のセツナを預かるが、生まれたての彼女は魂とカラダが合体するまでの100日間はセックス禁止。そのオキテを破れば死んでしまうという。やがて人の命を奪わなければ生きられない自分の宿命を知るセツナだったが……。いまおかワールド炸裂のキュートでエッチな魔界ファンタジーだ。
 7月12日の午後、新宿歌舞伎町の一角で撮影が行われた。ロケ地に選ばれたのは歌舞伎町の風林会館内にある「ニュージャパン」。かつてグランドキャバレーだったこの場所は今なお昭和のアンティークなきらびやかさを残している。
 ここはブラドの住む洋館の居間という設定。その一角で、セツナ、ブラド、女吸血鬼のカーミラの三人が顔を合わせるシーンのリハーサルが進む。吸血鬼としての宿命と人を好きになる感情との間でセツナとプラドが揺れ、それをカーミラに厳しく叱責される場面だ。黒いボンデージ風の衣装に身を包んだカーミラ役の辰巳ゆいがタバコをくゆらせながら座っているところへ、チュニック姿のセツナがやって来る。セツナを演じるのはグラビアアイドル出身のAV女優・由愛可奈(ゆめ かな)。「プラドを好きになるよ」と言うセツナを張り倒して首を締め上げようとするカーミラの背後から、黒いシャツを着た和田聰宏演じるブラドが現れる。ブラドが二人を止めに入るタイミングを話し合う和田といまおか監督。リハを繰り返す中では、「人間らしくなりすぎる」とのことで脚本に書かれていたカーミラとブラドの動作を変更するなど、より「ヴァンパイアらしさ」を追い求めるいまおか監督の姿がそこにはあった。約1時間のリハの末、このシーンはOKに。ぜひ本編中で確認して欲しい。
 
本作は「ラブ&エロス シネマ・コレクション」2ndシーズン第二弾【Autumn】の一作。1stシーズンの『島田陽子に逢いたい』で観客動員数1位を獲得したいまおか監督は、同シリーズへは二度目の参戦となる。いまおか版『トワイライト』は誕生するか!?