7月1日(日)、『オードリー』『See You』関西公開舞台挨拶が九条・シネ・ヌーヴォXにて行われた。『オードリー』上映後に登壇したのは勝又悠監督と先生を演じた兵庫県出身の水野祐樹さん。

『オードリー』は親友と同じ男の子を好きになった女子高生の文化祭までの数日間の恋を描いた作品。主演は笠原美香。『はい!もしもし、大塚薬局ですが』に続き勝又監督作品に出演となった。恋のライバルとなる親友を演じたのは『冷たい熱帯魚』(園子温監督)の梶原ひかり。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011招待、第33回ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2011入選、田辺弁慶映画祭2011 東京国際映画祭 チェアマン特別奨励賞を受賞した。
一方『See You』は制服を着た女子しか愛せない男とその男に誘拐された女子高生の数日間の姿を描いた作品。主演に『ロックアウト』(高橋康進監督)の園部喜一。総勢160名のオーディションで選ばれた清瀬やえこ。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012招待作品となっている。

日常の100%が恋愛という“あの頃”特有の女子高生の姿を、勝又監督自身当時の感情を織り込んだり、こうなればいいのにという妄想を膨らませて仕上げたという作品。制作時の苦労については
「高校生にいかにして仕事として取り組ませるか大変でしたね」
「みんなあまりしゃべりかけてくれなかったですね。オレが輪に入ると急にシーンとなったり(笑)。オレの悪口で女の子たちに結束ができたらいいなというのはありました」

劇中、茶道部でお茶を点てながらヒロインの恋愛相談にのる兄貴のような先生を演じた水野祐樹さんは
「自分が高校の頃の青春をなぞっているような感じ。キャストは若いけどキャリアのある方ばかりなので逆に勉強させていただきました」

勝又監督の作品の特徴は、登場する女子高生の台詞がアドリブに見えるほど自然なところだが、「全て脚本通り」と観客を驚かせた。
「女の子3人の乱暴な掛け合いも何回も現場でリハーサルしています」
彼女たちのリアルを切り取るためには、そのまま再現するのではなく、ある程度の抑制や演出は必要だったと語る。
「台詞の間にしても0.5秒詰めて!とか指示するから3人とも苛立ってましたね。“何?分かんない!!”みたいな(笑)。でもみんなある種の負けん気があって、本番を撮る頃にはしっかりと演じてくれました」

女子高生への演出は厳しい勝又監督だが、他の出演者に対してはどうだったのか。水野さんは
「いや、女の子だけですね(笑)水野さん好きにやっていいよーって感じです。でも台詞はそのままで前後にバンバンアドリブを入れたら全部カットされました!(笑)」
「余計なことばかりするから全部カットしました(笑)」
好きにといいながら、押さえるべきところはコントロールしている現場の様子が伺える。

登下校で歩く女子高生の姿が妙にイキイキしているのが印象に残る勝又監督作品。秘密は「カバンの持ち方」とそのこだわりを激白。
「カバンをしょってみたり頭に乗っけてみたり。街を歩く女子高生を見ていると、カバンの持ち方に一番キャラクターが出ていて面白いですね。女子高生を初めて撮ったような監督は普通の持ち方をさせるけど、そこに経験の差が出る(笑)女子高生を女子高生という記号でしか見ていない人だと思うんです(笑)」
こだわりの描写は『オードリー』のポスタービジュアルにも現れている。映画を観る時はその辺にもぜひ注目して欲しい。

シネ・ヌーヴォXでは、7/7(土)、7/8(日)の2日間に渡り、『オードリー』『See You』各回先着5名様<制服女子高生無料ご招待>キャンペーンを実施する。予約・お問い合わせは電話で受付中(06-6582-1416)。女子高生のみなさん、この機会にぜひ制服で劇場へ!

次回作は制服映画ではなくバイオレンス映画作品を構想しているという勝又監督。元々キム・ギドク監督の作品が好きだという意外な一面もあり、今までのイメージを覆す作品の登場に期待したい。

(Report:デューイ松田)