第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待作品『ライク・サムワン・イン・ラブ』の公式上映が行われ(日本時間22日(火)AM5:00、現地時間21日(月)PM10:00)、アッバス・キアロスタミ監督をはじめ、日本人キャストの奥野匡、高梨臨、加瀬亮がレッドカーペットに登場し、マスコミのフォトコールに出席した。
その模様が現地から届きました。

映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』とは?

キアロスタミ、究極の映画 ——世界は謎とドラマに満ちている
光と影、夜と昼、虚実が二重写しとなった世界で、カメラは、刻々と移り変わる主人公たちの表情と心を見つめ続ける
洗練された演出の極致であり、物語を超えて役者たちの真実の瞬間をとらえた
キアロスタミのまなざしの記録

キアロスタミ版『去年マリエンバートで』とまで言われた前作につづき、本作もまた解決されない謎に満ちたミステリアスな世界を描きだし、サスペンスフルでありながらその映像とまなざしで見るものをひきつけ、酔わせずにはおかない映画である。

この映画もまた、<こんな映画がありうるのか?!>という不思議な作品になっている。いろいろな人物間の会話や沈黙、自動車の中での会話や視線、おばあさんからの留守電、正体不明の老教授とその自宅に飾られた「教鵡」(きょうむ)という絵画(1900 年、矢崎千代二)、ストーカー的にヒロイン・明子を拘束しようとするノリアキ、彼におびえつつ、うそをくりかえす明子。
説明もなく登場するそうした人物たちのミステリアスな「表情」のたえまない変化、とりわけ場面ごとに刻々と表情や態度を変えていく明子を巨匠キアロスタミはひたすら見つめ続け、そのまなざしこそがこの映画のサスペンスとドラマとなっていく。

公開は、9 月より 渋谷・ユーロスペースにてロードショー 他全国順次公開