伊勢谷友介監督作品「セイジ—陸の魚—」のティーチインがテアトル新宿にて行われ、主演の森山未來を始め出演者、監督ら総勢5名が登壇し、映画について観客からの質問に答えながらのトークは爆笑の盛り上がりとなりました。イベント最後では、韓国での公開と、台湾やドイツの映画祭で招待上映されることが発表され、祝福の拍手に包まれました。

公開からずっとテアトル新宿では伊勢谷監督のティーチインを毎週末に実施。映画について直接観客の方と感想や質疑をやり取りしたいという伊勢谷監督たっての願いで実施されたのが功を奏したのか、映画はリピーターが続出する程のヒットとなり、テアトル新宿一館だけで動員1万人を突破。この日も客席は立ち見も入れて満員御礼、圧倒的な熱気と声援を受け大盛り上がりだったトークショー。

映画『セイジ—陸の魚—』 ティーチイン
■日時:3月17日(土)  20:10〜20:40 (30分間) 
■会場:テアトル新宿 【座席数218席+立ち見客60名】
(東京都新宿区新宿3−14−20 新宿テアトルビルB1)
■登壇者:森山未來(27)、渋川清彦(37)、滝藤賢一(35)、伊勢谷友介監督(35)、
龜石太夏匡プロデューサー(40)

龜石P:このメンバーでのHOUSE475での撮影はいかがでしたか。楽しそうに盛り上がってるようにみえていましたが。
森山:あそこはたまり場っていう設定だったから、美術さんがいろんな遊び道具を準備してくれていて。すごくハマってみんなで遊んでましたね。
渋川:サイコーでしたよね。
滝藤:そうですね、僕は普段共演者の方と余りお話したりしないんですけど・・あれはハマりましたね(笑)
龜石P:あそこは元々お土産屋さんで映画のあのBarはもう無いんですが、ここにいる方と美術の都築さんとであの雰囲気を作り上げました。さっそくそれではみなさんからの質問に答えてもらいましょう!
「滝藤さんは監督と同い年ですが、同世代の俳優としてお互いの印象は?」
滝藤:僕は無名塾入った年に、伊勢谷さんが是枝監督の「ワンダフルライフ」に出てるのを観に行ったんですよ。同世代の人が自由に芝居しているのを観て、僕は真逆のことを勉強している訳ですから凄く影響を受けました。いつか共演したら面白いだろうなって思っていました。それで「白洲次郎」で初めてご一緒した時、僕は恰好いい人を見て初めて涙が出たんです。出征のシーンだったんですが、伊勢谷さんが横でタバコを吸っていて、ぽろっぽろ涙が出るんですよ。
龜石P:白洲撮ってる時、そう言えば伊勢谷は滝藤くんがいいって言ってましたよ。
伊勢谷:やっぱり僕たちの中では一番テクニック持ってるのは滝藤くんでしょというのはありますよ。
滝藤:伊勢谷さんこそ、ジョーの時は身体を見てびっくりしましたよ!人間として、あんな身体になるんだと。またご一緒する時はガッツリ絡むのを楽しみにしています。
「もし20年後の「僕」を何かの形で森山さんが演じられるとしたら、「僕」のセイジさんに対する思いはどんな風に変化したと思われますか?」
森山:うーん・・“僕”は何かひっかかることがあって、20年後また戻ってきたと思うんですが・・
大きなしこりが自分に残りながらも、きっと生活というのは大きく変化してしまったわけではないと思うんですね。りっちゃんに再会してから、何かを感じて変化するのではないかなと。20年前は“僕”はセイジという人をきちんと捉えられていなかったと思うので。
龜石P:また会いたかったと思いますか?“僕”はセイジと。
森山:僕は会いたくないだろうな、と思います。会えないだろうな、と。今セイジさんに会っても、きっとセイジさんに聞けることや、やれることが多くあるのかなって。そこはすごく恐れみたいなものをはらみながら“僕”はHOUSE475に向かったんだと思います。
「渋川さんのロックな感じがとても好きなんですが、今回監督と演技について話されたんですか?またお互いにみたそれぞれの印象を教えてください!」
渋川:話してない、ですよね。
伊勢谷:・・・・(笑)
渋川:・・・・(笑)
龜石P:話してない、ということですね(笑)

滝藤:坊主がどうだって話があったじゃないですか。
渋川:ああ、俺セイジの時は髪の毛短い状態でいたんですけど、坊主にしたほうが恰好いいかな、と思ったんですね。でもそれを言ったら・・
伊勢谷:元々坊主じゃん、って。
渋川:違うよ。ちょっとあったよ。ちょっと。
龜石P:お洒落坊主ですよね。
渋川:お洒落坊主です。
滝藤:それを、鬼怒川行く車の中でずーっと言ってるんですよ。これは坊主だ、いや坊主じゃないって(笑)
「津川さんを目が悪い設定にした意図を教えてください。」
伊勢谷:津川さんはすごく立派な俳優さんなので、パワーがほとばしるんですね、画面の中に。それをベールを付けることによって、見えない人が鋭敏になって人よりレベルが上がると言うか、見えないことによって見えるものがある人、というのを表現したかったんです。
龜石P:見事に津川さんの仙人のような雰囲気につながったんじゃないでしょうか。
「伊勢谷さんは今回俳優として出演することは考えなかったのでしょうか。あと、出演者の方々の伊勢谷監督の印象を教えて下さい」
伊勢谷:僕は元々映像の仕事がしたいと思って芸術系の大学に入ったので、俳優になったのも監督に接することが目的だったんですよ。なので元々やりたかったことにやっと今回専念できたので、自分が出演しようとは全く思わなかったですね。ちょろっと写り込んでみようかなって話もあったんですが、現場入ったら大変すぎて忘れ果ててました。
龜石P:それではみなさんの伊勢谷監督の印象を。
渋川:いやー格好いい監督だなーっと・・や、それが率直な感想ですね。すごいなーと。あと瞬発力がありますね。トラブルを結果うまく持っていく、みたいな。
伊勢谷:や、それはみんなのおかげですよ。
森山:僕はこの作品に関わる前は共演経験もなかったので、単純に監督、という存在でした。モノづくりでイメージを持って常に行動している人なので、何かあった時の対応がフレキシブルで、その作業に僕も関わらせてもらった部分もあったし、受け皿が広い人ですね。
滝藤:すごく自由にアドリブをがんがんに多くやらせてもらえました。
龜石P:「足、ぷるぷるー!」ってのは?
滝藤:あれはテストの時にちょっと言ってみたんですけど、本番では言わなかったら監督がターッとやって来て、「滝藤君!足プルプルはマストで!」って言われました(笑)

最後に、龜石Pより、「セイジ—陸の魚—」が世界各地で上映されていくことが発表!

■3月29日(木)より、韓国にて「セイジ—陸の魚—」公開が決定!
日本やヨーロッパの単館アート映画を多く韓国で配給する「SPONGE ENT」直営の映画館「SPONGE HOUSE」(ソウルの中心地地下鉄「クァン・ファムン駅」下車すぐ)にて公開。
■第14回 台北映画祭(6/29〜7/21)にて招待上映決定!                                 30ヶ国からの映画が上映され、10万人以上の動員を誇る台湾最大の国際映画祭、台北映画祭。14回目となる今年は映画クリエイターにフォーカスを当てるプログラム「Filmmaker in Focus: Yusuke Iseya」にてセイジが招待上映されます。長編第一作「カクト」のほか、出演作品も上映予定。

■ドイツの第12回「ニッポン・コネクション」(5/2〜6)にて招待上映決定!
ドイツのフランクフルトで毎年開催されている世界最大の日本映画祭、第12回「ニッポン・コネクション」でも招待上映されることが決まりました。

龜石P:監督、どうですか。少しづつこうしてセイジが世界に出ていきますけど。
伊勢谷:もっと早い段階で出て行きたかったってのはありますけど(笑) 逆に日本での公開がみなさんにとって興味あるものになってくれたっていうのが僕にとって非常に嬉しくて、海外で評価されて映画館に行くのではなく、皆さんがこの映画を支えてくれたことが他の方にも観なきゃいかんと伝わっていく映画になったので、僕としては一番嬉しい形になったと思っています。