震災後の福島を舞台にしたファンタジー「トテチータ・チキチータ」のプレミア試写が東日本大震災からちょうど一年の3月11日、都内で行れた。本作は震災前より福島を舞台に撮影が予定され、一時は暗礁に乗り上げたにも関わらず、福島県内の人たちのたくさんの協力を得て昨年10月に撮影、福島先行公開をへて、4月7日より全国拡大ロードショーが決定。東京公開に先駆けたこの日の試写会には、福島から東京へ避難されてきた方々も招待された。また福島の先行上映で集められたメッセージもボードに張り出し、今度は東京から福島へのコメントも集められた。その後、外国人記者クラブでも監督などの記者会見が行われ「この映画で、福島のありのままの姿を見て」とアピールした。

豊原功補「役作りのため、孤独に過ごすことも多かったけれど、撮影の合間に食べた食事がとてもおいしかった。松原さんはとても食いしん坊で、撮影中にお蕎麦が食べたいと現場を15分待たせたことがありました(笑)震災から一年経ちますが、原発問題もまだ解決していない。自分が福島や東北の人たちのために何ができるかと考えた時に、たった数時間でも映画で楽しいときを過ごして、明日への希望を与えられればと、気持ちを込めて演じました。」

松原智恵子「現場は地元の子供たちや近所の人たちがエキストラで参加されていたり、わいわい賑やかでした。私も一緒になってお菓子を食べたりしていました。日活で16歳でデビューし、その頃は娘役もやっていたのですが、もともと末っ子なのですんなりと役(心は5歳の少女)には入れました。東京に住む私たちは被災地に対し、何か少しでもお手伝いをできないかということを考えながら、一緒に歩んでけたらと思います。私のラストのセリフ『生きていればいるから大丈夫』が一番伝えたいことです。」

寿理菜「初めての演技は普段テレビなど見てるのと違って難しかったです。震災の後、私にも何かできないかと色々考えました。この映画を通じて何かを受け取っていただいたら嬉しいです。」

葉山奨之「撮影で特に覚えてるのは炊き出しが美味しかったこと!東京では普段たべられない田舎料理など頂きました。役作りのために被災地に入った時にそこの高校生たちと交流する機会があって、その子は津波でお父さんを亡くしていたのに、それを感じさせないぐらい普通にしていて感じるものがありました。絶対に・・(涙で言葉を詰まらせ)・・絶対に涙すると思うので見てください。」

古勝敦監督「一年前の今日、もうこの企画はムリだと思った。あまりに凄いことが起こってる。あまりのことで自分の中でこの出来事を咀嚼できず、作りながらも悩みました。被災された方がどう思うのかが心配でしたが、仮設住宅で上映して観た方々が泣いているのを見て、これで良かったんだと思いました」

古勝たつ子プロデューサー「映画とは嘘をつくこと、でもこの映画には真実が描かれています。嘘で真実を描くんです。インターネットやニュースでは色々な情報が流れ、入り乱れています。そんな中この映画にはかけがえのない真実が映っているはずです。」

古川雅裕プロデューサー「僕の本業は福島県白河市のお菓子屋です。福島は世界からもう住めないと思われている。でも撮影したのは震災から7ヶ月のありのままの福島です。大変なことがあった福島だからこそ奇蹟を呼び込めたんだと思います。映画の中の美しい風景も、元気いっぱいの子供たちもすべて震災前と何も変わってないんです。この震災で、家族が一番大切、明日はどうなるかわからない、ということを学びました。だからこそ、自分たちの手で未来を変えたい!という一心でこの映画を作りました。少しでも多くの方に、今の福島を伝えられたらと思います。」