作品を発表するごとに国際映画祭を賑わす世界的巨匠アミール・ナデリ監督作品であり、 西島秀俊3年ぶりの主演最新作『CUT』(12月17日より全国順次公開)。
本日12月17日(土)公開初日を記念して舞台挨拶を実施致しました。
2人が出会って6年越しにやっと公開を迎えられて、ナデリ監督も西島秀俊も感無量の様子。
お互いを尊敬し合い、絶大な信頼と絆で結ばれていることが伝わってくるエピソードを聞いて、満員の会場からは2人に何度も温かい拍手が送られました。

◆映画『CUT』初日舞台挨拶

●実施日時: 12月17日(土) 
●場所: シネマート新宿 
●登壇者: アミール・ナデリ監督、西島秀俊

Q.
まずお越しいただいたお客様へ一言ずつお願い致します。

●西島秀俊(以下 西島)
みなさん今日はどうもありがとうございます。
2005年に監督と会って「日本に革命を起こしたいんだ」と言われました。
この映画が先日(11月23日)東京フィルメックスで初めて日本で上映された後、映画の制作者だけでなく、ミュージシャンの方やアートに携っている方、アートを愛している方々から「この映画を応援したい」「新しいことを一緒にやっていきましょう」と連絡をいただいて、なにか新しいことがここから始まるんだなと実感しています。
『CUT』を見ていただいて、強いなにかを感じてくださった方とこれから人生をかけて、いろいろ新しいことを作り上げたり、長い関係を結んでいきたいと思っています。
今日は楽しんでいってください。

●アミール・ナデリ監督(以下 ナデリ監督)
西島さんとプロデューサーと、この2年間毎日この作品のために努力してきました。
西島さんの才能と勇気とハートなくしてはこの映画をつくることは出来ませんでした。
今日がどれほど素晴らしい日か言葉では表わせません。
今までの西島さんとは全く違う面をこの映画でお見せできることでしょう。
私を信頼してそれを叶えてくれた西島さんを誇らしく思います。

Q.
本作は2005年の東京フィルメックスでおふたりが出会い、意気投合したことから生まれた作品です。
結婚式の披露宴のような質問ですが(笑)、おふたりの第一印象をお聞かせください。

●西島
鋭い眼をした方で、一目ですごいエネルギーを発している方だなと思いました。
本当に披露宴みたいですけど(笑)、僕は運命的なものを感じて、そして監督も同じことを感じてくださったようで、すぐに「一緒に映画をつくろう」と言われました。
「俺はにおいで(人となりが)わかるんだ」と仰っていて、とても神がかった方です。

●ナデリ監督
お互いにこの瞬間を待っていたのではないかと思う出会いでした。
お互いのことは知らなかったし、話す言葉も違いましたが、出会った瞬間から長く知っているような感覚がありました。
西島さんは日本の過去の名作についてとても詳しいので驚きました。

Q.
ナデリ監督は日本で映画をつくるのはとても難しかったと思いますが、どのようなプロセスを経て本日の公開に至ったのでしょうか?

●ナデリ監督
日本では物事のルールや順序がはっきりしているので、まず信頼を勝ち取らないと最初の一歩を踏み出せませんでした。
西島さんが自分を信頼してくれたことによって、また他の人も自分を信じてくれて、この作品を作ることができたのです。

Q.
西島さんは映画愛のために命をかける映画監督の物語だと聞いてどのように思われましたか?

●西島
最初に脚本をいただいたときは「映画化するのは不可能ではないか」と思いました。
観客の方々がなかなか受け入れられないんじゃないかと。
それでも監督が「映画とは不可能を可能にすることなんだ」と仰ったので、僕も挑戦しようと決意しました。
撮影中はどんどん過酷な撮影になっていったのですが、毎朝「今日一日素晴らしいワンシーンが撮れますように」と祈りながら家を出ていました。

ここでサプライズで、スタッフより本作で引用される100本の映画タイトルが入っているクッキー(ナデリ監督の大好物!)がプレゼントされると、監督は「ありがとう!」と叫んで大喜び。
ナデリ監督は『市民ケーン』のクッキーを、西島さんは『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』のクッキーを手にフォトセッションを行いました。

Q.
最後に一言お願いいたします。

●ナデリ監督
私は観客のみなさんにも大変な信頼を寄せています。
この作品をご覧になったあかつきにはみなさんもファミリー(『CUT』の一員)になるわけです。
ですからファミリーとして周りの人に見るようにと広めてください。どうか映画を救ってください。
特に若い方にぜひこういう(アート系の)映画を経験していただきたいです。
インディペンデント映画により想いを寄せるきっかけになれば幸いです。

●西島
今この作品の上映館がどんどん増えていると聞いています。
僕の今一番の夢は『CUT』がシネコンにかかって、シネコンで舞台挨拶をすることです。
ぜひこの映画と一緒にみなさんとまたお話できる機会があればと願っています。
どうもありがとうございます。