生死を乗り越えつながり続ける家族の絆を描くファンタジー『トテチータ・チキチータ』福島ロケ クランクアップ!
10月8日から20日間にわたって福島県白河市を中心に県内5市を舞台に撮影が行われていた映画「トテチータ・チキチータ」の撮影が、東京ロケを含めすべて撮影終了、オールアップとなった。
孤独を抱え人生に絶望した男が、不思議な少女に導かれて「前世で家族だった」人々と出会い、家族の絆を知り、再び人生を歩き出すという物語。主人公・一徳を実力派俳優として知られ、映画、ドラマ、舞台に出演が相次ぐ豊原功補が演じている。
3月11日の震災以降福島第一原発事故の影響もあり、2007年から進められて来た企画も一時は暗礁に乗り上げたが、福島の人々の支えにより予定から約2ヶ月遅れてのクランクインとなった。エキストラは全て地元の人々が出演し、炊き出しなどでも各地地元の協力を得て、撮影隊との交流を重ねて来た。エキストラでは小学生から高校生、年配の方まで幅広い年代の方々が出演しているが、みな「もちろん将来への不安が消えたわけではないけれど、今福島は頑張ってるよ!という明るいメッセージを伝えたい」と語っていた。ストーリーの中でもサテライト校、原発避難地域など震災の影が描かれているが、「震災で変わらざるを得なかった日常がさりげなく描かれているからこそ、今福島で映画を撮る意味を感じる」という人もいた。
撮影を終えて、豊原は「震災以降、福島の人達の『元気になろう』という気持ちに対して、映画の力を通してどれだけ協力というか、心の支えになれるかという意味合いも込められていますし、地元の人の強い気持ちがこの映画の後押しにもなっています」と話した。本作は、生まれ変わったのち、兄は中年になっており、父は高校生、母は小学生になっている、かつて一番小さかった妹はすでに人生の終わりにさしかかっているという設定で、年齢と関係性がちぐはぐでユーモラスだが、東日本大震災のあと、再び見直されて来た人間関係の大切さ、家族の大切さや絆とは何なのかを改めて考えさせられる内容になっている。豊原は「出てくる人達の絆、家族の存在、あたたかいものがいっぱいつまっています。また、福島の美しいロケーションも楽しんでいただければ」と語っている。
また、前世の一徳の妹で、唯一戦争を生き抜き、家族の帰りを待ち続ける妹・百合子を松原智恵子、前世は一徳と百合子の父で、今は震災の被害を受けサテライト校に通っている高校生・健人をこれが映画初出演となる葉山奨之、一徳と百合子の母であったと語り、生まれ変わった家族を結びつけるシャーマンのような不思議な小学生・凛を新人の寿理菜が演じている。本作は2012年春、フォーラム福島ほか全国公開予定。