大阪市中央区西心斎橋にあるシネマート心斎橋にて、10/8(土)映画『タナトス』の初日舞台挨拶が行われた。登壇したのは主演の徳山秀典。

元WBA世界ミドル級チャンピオンの竹原慎二・原案による全8巻からなる人気コミックの『タナトス〜むしけらの拳』(原作:竹原慎二・落合裕介/小学館ヤングサンデーコミックス刊)を3年がかりで映画化したのが映画『タナトス』。他人とのコミュニケーションを拒絶したまま、暴走族の助っ人として日銭を稼ぐ青年・リク(徳山秀典)。アマチュアボクサーの棚夫木(佐藤祐基)のパンチに完敗したことをきっかけに、ボクシングの熱く深遠な世界にのめり込み、その才能を開花させてゆく。

キャストには『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス2011〜』で徳山と競演した佐藤祐基、『20世紀少年』シリーズの平愛梨、『BECK』の古川雄大、『クローズ ZEROⅡ』の大口兼悟、『ゴールデンスランバー』の渋川清彦を中心に、監督・脚本・編集を『ガチバン』『デコトラ・ギャル 奈美』の城定秀夫が務めている。

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舞台挨拶は約40人の立ち見が出る盛況で、質問に対して適当な返事が出来ない徳山さんの真面目な様子、アクシデントにもユーモアで切り返し盛り上げる柔軟合わさった魅力全開の舞台挨拶となった。当日2回行われた舞台挨拶の中から印象的なやり取りをご紹介したい。MCは小澤真弓さん。

まず、地方の舞台挨拶で恒例のご当地ネタ「大阪の好きな食べ物は?」という質問に対しては、
「おいしいものは歩いて探すタイプです。イカ焼きが好きで食べに行きました。場所はあまり教えたくないです(笑)」

撮影に当たり、こだわって演じた点は「原作と同じ動きや、パンチですね」と語る徳山さん。
主人公・リクの体を作るために、ウエイトを70キロまで上げ、約11キロ程落としたという。ダイエットに悩む女性にアドバイスを求められると
「簡単ですね。気合です。挫折という言葉を忘れると絶対できます」

クライマックスの後楽園ホールでの試合について。
「楽しかったですね。聖地なんで、リングの感触が全然違うんですね。バネがあるというか、サンダル履きから初めてエアバス履いたみたいでした」

リクに共感できるところ、やったけど分からなかったところに関しては、
「全体的に気持ちは分かるんですね。役作りの段階で台詞を発するのは自分の中のどこかの部分を拾って出していくので。分からないところはその才能。パンチの強さや生まれ持ったもの、そこは分からないですね」

高校時代から実際にボクシングをしていたという徳山さん。ご自身はケンカ好きかという質問に対しては、
「ケンカ好きでしたね」とやんちゃな面を覗かせた。ボクシングをしてよかったことは、「護身術としてもそうですし、足の運びなどアクションで役に立ちましたね」

天才ボクサー・棚夫木役の佐藤祐基さんとは『仮面ライダーカブト』以来4年ぶりの共演を果たした。プライベートでも仲がいい2人だが、撮影中はあまり言葉を交わすこともなかったという。
「一生懸命でしたね。2人ともずっと鏡に向かって練習ばかりしていました。普段も一緒に遊びに行くってことがなくて、彼も真面目なんで、ずっとお芝居の話なんかをしてますね。『タナトス』が終わって『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス2011〜』で顔合わせしたときは“あ!棚夫木”って(笑)。殺気は全然なかったですね。チャラーい感じになっちゃって(笑)」とストイックな棚夫木とのギャップに会場を爆笑させた。

これからやってみたい役に関して聞かれ、すぐに答えが出てこない徳山さん。
「真面目に考えちゃうんですよね(笑)。冴羽獠」会場からは“おー!”っという歓声が上がった。すかさず「獠ちゃんだよー!」と物真似を披露するサービスぶりに会場も沸いた。

『タナトス』のエンディング曲『愛のまま永遠に』は、徳山さん自身が作詞も手掛けている。
「作詞は考えて考えてというより、バスの中でちょっとひらめいた言葉を携帯でメールみたいにダーッと打ちます」
「僕は星が好きで、歌詞に出てくる“アルタイル”って飛行士なんですけど、適うのか適わないのか“愛”をテーマにしています。それは、藤原陸という1人の人間の飢えた愛であったり、色々なものがつまっていて、どこか切なげでどこか暖かい、そんな雰囲気を感じていただければと思います」

劇場へ足を運んだ観客に対しては、
「皆さんに観ていただけること、それが100%で、僕らはいつも演じています。僕は感謝の言葉しか述べられないのですが、楽しんで行ってください」

映画『タナトス』の続編に関しては、
「そうですね。“ヤルヤル詐欺”と言われないよう、やりましょう(笑)。ストーリーは竹原さん、落合先生と相談して、しっかりと骨組みをもっともっと強くして、10倍くらい面白い作品にしたいと思います」
と、強い意欲を覗かせた。

(Report:デューイ松田)