「鉄道員」「地下鉄に乗って」「蒼穹の昴」など数々の名作を世に送り出してきたベストセラー作家・浅田次郎の原点とされる小説の映画化。公開に先立ちまして、完成披露試写会を行いました。

■場所: 東商ホール(千代田区丸の内3-2-2-4F)
■日程: 8月8日(月)
■登壇者:
堺雅人/福士誠治/ユースケ・サンタマリア/森迫永依/松本花奈/佐々部清(監督)
元ちとせ(特別ゲスト)/17人の女生徒たち(特別ゲスト)

堺 「(演じた真柴史郎という役について) 8月15日というそれまでのルールが崩れ、新しいルールが定まっていない見通しの悪い時代に、手探りしながら自分の考え方や生き方を作っていくという、懐の深い大人の魅力を持った人物だな、と思いながら演じていました」

福士 「佐々部監督とは僕の映画デビュー作『チルソクの夏』以来で、ゼロの状態を知っている監督に自分の成長ぶりも見られるような緊張感があり、萎縮しつつ、胸を張って頑張りました」

 ユースケ 「男というのは、人生の中で一度や二度、愛するものや自分の大事にしてるもののため、命をかける瞬間があるかもしれないので、僕たちはいいのですが、可愛い女の子たちが過酷な運命に巻き込まれていくというのが可哀想で可哀想で・・・ でも、現場の役者チーム、スタッフのみなさん、何より女の子たちのかわいい笑顔、純粋な笑顔に助けてもらいながらなんとかやり遂げました」

森迫 「撮影前、当時の女学生たちの日記を皆で読んだり、実際に学徒動員された方にお話を伺ったりしました。演じる上でとても貴重な時間になりました」

松本 「撮影前、監督やスタッフから当時の少女たちの立ち姿や歩き方、気持ちなどを色々教えていただいて、当時、そういう少女がいたんだな、ということを思いながら演じました」

佐々部監督 「このドラマに出てくる少女たちの悲劇について、最初に決めたのは、「ひめゆりの塔」の悲劇を提示する映画にはしたくないということです。日本人ががちゃんと立ち上がる様を今の我々がちゃんと受け止められるような映画にしたいと思って、それが浅田次郎先生の『日輪の遺産』という原作に込められた想いだと感じました」

17人の女生徒役キャストも駆けつけ、「皆、出ておいで!!!」という野口先生役・ユースケさんの掛け声で、後方の扉から登場。劇中、彼女たちが堺さん・中村獅堂さん・福士さん扮する3人の軍人に敬礼をするシーンがありますが、実はそれには「好きな人に向かって敬礼をしてください」という演出がありました。そこで、この場で「それは一体誰だったのか?」ということを暴露(?)する質問コーナーに。会場には居なかった中村さんに挙手をしたひとり、松本シズ役の遠藤恵里奈さんは、その理由として、「意外とお茶目なところです。撮影前に女学生の肩をポンポンって叩いて知らない振りをしていたんですが、皆ユースケさんがやっていると思っていて(笑)」と意外な秘話を披露。

また、本作のイメージソング「永遠の調べ」を歌う元ちとせさんも応援に駆けつけました。この曲に込めた想いについて、「誰もが永遠の眠りに付く時に、贈ってもらいたい歌があるのではないかと思います。その歌があることで、残された人たちの中に誰もが生き続けていけるはずで、この映画の中の少女たちにそういう歌がぜひあって欲しいという想いを込めました」と語りました。
元さんがこの曲を生披露し、歌う最中、堺さんはずっと目を閉じ、歌に聴き入っているようでした。

舞台挨拶の最後に、改めて堺さんと監督が、それぞれ映画に込めた想いを語りました。
監督 「この映画を今公開できることにすごく誇りを持っています。おそらく昭和20年8月から66年たった今の日本にとって、それ以来の有事だと思っています。今こそまた我々が頑張らないといけないという、そのビタミン剤や栄養剤にこの映画はきっとなると思います」

堺 「この映画を撮影したのは去年の6月でした。その時はまさか公開の時に日本がこういう状況になっているとは誰一人思っていなかったのですが、こういう日本になってはじめて、こういう日本だからこそ、皆様の心に響く要素をこの映画は沢山持っている、そういう作品ではないかと思います」