「したコメ」は浅草、上野という東京随一のしたまちの魅力をコメディ映画を通じて存分に味わっていただくコメディ映画祭です。

 今年のオープニングに選ばれたのは『カンナさん大成功です!』のキム・ヨンファ監督最新作、『国家代表!?』。韓国では歴代興行収入ランキング6位に輝いた国民的コメディが、いとうせいこう氏字幕監修のもと上映されました!

■実施日時:9月17日(金)
■場所:浅草公会堂
■登壇者:キム・ヨンファ監督(38)、ハ・ジョンウ(32)、いとうせいこう(49)

◆オープニングセレモニーでいとうせいこう氏、台東区長らがコメントを述べたのち、「国家代表!?」監督のキム・ヨンファ氏、主演のハ・ジョンウ氏が登場。いとうせいこう氏を交え、舞台挨拶が開始された。

■キム・ヨンファ:
 皆さんこんばんは。脚本・監督のキム・ヨンファです。映画を作るたびに、母国だけでなく、中国や日本の皆様にたくさんの愛情を送っていただけて、大変有り難く感じております。
 今回は、来月の公開に向けてのプロモーションということでやって来たのですが、素敵な映画祭があるということなので、こちらに参加させていただきました。ほんとうに特徴のある楽しい映画祭で、とても気分が良くなりました。

■ハ・ジョンウ:
 こんにちは(日本語で)。皆さんにお会いできてとても嬉しいです。「ノーボーイズ・ノークライ」の舞台挨拶で来日してから約一年でまた来れることになりました。人力車にも乗れたので土産話ができました。皆さんも楽しい時間をお過ごしください。

—MCからの浅草は初めてか?そしてレッドカーペットを踏んでみての印象は?という問いに対して、

■キム・ヨンファ:
 実は午前中から昼にかけてインタビューが連続していたため、ここに来る途中に居眠りをしてしまったんです。ですからこちらに到着してからようやく色々と眺めることができました。浅草は過去と現在が混在していて、歴史のある街だなあ、という印象を受けました。
 今までは渋谷等の街にしか足を運んだことがないので、こういった街に初めて訪れて、本当に美しい街だな、と感じました。そしてたくさんの方に歓迎していただいて、本当に気分がいいです。

■ハ・ジョンウ:
 僕は居眠りはしませんでした(笑)ですので、途中の景色も眺めることができました。ありきたりの言葉にはなってしまいますが、本当に温かい街だな、と感じました。また到着してからも、周囲の方々に温かく迎えて頂けて、今回の来日はきっと記憶に残るものとなるでしょう。帰国したらインターネットで浅草について調べてみたいと思います。

—作品の字幕を監修したせいこうさんに対して、本作の印象を質問。

■いとう:
 「翻訳」というと、どうしても小手先のものになってしまう可能性もありますが、本作は非常に構成がしっかりしていて、その中に笑い、感動がうまく配置されており、僕はその流れを邪魔しないように空気を伝えることを第一に考えました。皆様にはその空気のまま楽しんでいただけたらな、と思います。

—本作で特にこだわった部分は?という問いに対して、

■キム・ヨンファ:
 人間の感情というのは大きく分けて二つのものがあると思います。それは、「苦しみ」と「喜びです」。この二つはうまく調和、融合されるものだと考えます。
 それほど長く生きたわけではありませんが、私たちの人生もこの二つの感情の連続で成り立っているのではないかと感じます。ですから映画を製作するにあたっても、この二つの感情がどちらにも偏ることのないよう気をつけました。私の映画をご覧になる皆様には、悲しいところは思いっきり泣いて、楽しむ時には思いっきり笑って、満喫していただきたいです。

—今回の演技で特に苦心したところは?という問いに対して、

■ハ・ジョンウ:
 スキージャンプという競技では、まずバーに座って待つのですが、その時がとても辛かったです……すいません、僕は(少しだけ)高所恐怖症なので、いまのは冗談のつもりで言ったのですが、開場の皆様には本気で辛かったように思われてしまったようですね。せっかくの和やかな雰囲気を暗くしてしまってごめんなさい(笑)

—この映画が公開されてから、実際の韓国のスキージャンプ界にも変化があったと聞いたが、という問いに対して、

■キム・ヨンファ:
 映画が公開された後、支援金がたくさん支給されるようになり、念願の実業団チームが結成されることになりました。今回の北京オリンピックでのスキージャンプは、成績こそ振るわなかったものの、この映画の影響か、多くの人から認知され、またたくさんの声援も頂きました。映画を作った私としては、映画という作品を観客の皆様に、そして自分たちの人生を「国家代表」として生きている選手の皆様にプレゼントできたのではないでしょうか。