●ソン・スンホンさん:
そもそも今回出演を決めたのは、松嶋さんの存在が大きかったからです。
是非共演したいと思いましたし、この機会を逃したら、次にいつ共演できるか分からないですし、後悔すると思いました。
演技の面でも松嶋さんとのやりとりが楽しみで、この作品は、自分にとっても大きな財産になると思って出演を決めました。

撮影を進めるうちに、人が心を通わせるとき、言葉は重要ではないんだなと改めて感じ、不思議な経験でした。
初めて会ったときから恋に落ちる役でしたが、目の前の松嶋さんが美しかったので、演技をしなくてもそういう気持ちになれました。

後半はシリアスになっていって、キスシーンの撮影もあったので、なるべく食事をしないでいたのですが、大事なシーンでお腹が鳴ってしまってすみませんでした。
松嶋さんは美しくて、優しい方で、周囲のひとにも本当に優しく、プロだなと思いました。

●松嶋菜々子さん:
私も同じようにお腹が鳴ってしまったことがあって、「ソンさんに聞こえてしまったかな」と思ったこともありました(笑)。

キスシーンに限らず、一つ一つが大事なシーンだったので、食事をしなくていいので、このまま撮影をさせてほしいと思ったことも何度もありました。

私も言葉が通じなくても、表情や雰囲気で気持ちが通じるのは驚きましたが、とても勉強になりました。

●MC:
松嶋さん、ソンさんにお伺いします。
樹木希林さんのキャスティングには驚きともに、大きな期待が寄せられますが、樹木さんと共演されていかがでしょうか?

●松嶋菜々子さん:
樹木さんは衣装も全てご自分で用意されていて、ご自分のイメージを突き詰めていらっしゃるんです。そういうことを私はしたことがなかったので、とても勉強になりました。

●ソン・スンホンさん:
オリジナル版で素晴らしかったのは、第1には、愛し合う2人のメロドラマも良かったですけど、ウーピー・ゴールドバーグさんの演技もあの作品が素晴らしい理由の1つだったと思います。
樹木さんには、現場で初めてお会いしましたが、「自分はこうするんだ」という情熱を持って演技に取り組んでいらっしゃる姿を見て、「果たして自分は、樹木さんのように熱意をもって取り組んでいるだろうか」と反省しました。

樹木さんと共演をしていないシーンもあるので、完成した映画を観るのが楽しみです。

●記者:
松嶋さんとソンさんにお伺いします。
お2人が演じた星野七海とキム・ジュノの役作りはどのようにされましたか?また、何か特別に準備されたことなどはありましたか?

●松嶋菜々子さん:
とても年収の高い女社長の役でしたが、ジュノと出会って、会社で戦う自分とは別に、ボーイフレンドの前では甘えたりして、自分を見せることができる素直な女性を演じようと思いました。

また、企業の社長という肩書きがある中で、1人の女性としての生き方に重点を置いて、演じさせていただきました。

●ソン・スンホンさん:
この作品を撮る前に、韓国で違う韓国映画を撮っていたのですが、そちらが予定よりも長引いてしまったため、『ゴースト』の準備期間が短くなってしまったんです。僕は今回、日本語の勉強もしなければならなかったですし、陶芸家の役なので、その勉強ももっとしたかったのですが、思うように時間が取れなかったことが非常に残念でした。

韓国でも日本でも演技をするということに関しては、変わりません。
ただ、今回は初めて会う方々との撮影だったので、事前に、スタッフ・キャストの方々と仲良くなっておきたいと思っていたのですが、なかなか時間が取れませんでした。

ですので、撮影に入ってすぐは緊張していましたが、1〜2日経ってくると、だんだんと役にも入ることができて、松嶋さんを見ているだけで、嬉しい気持ちになったり、悲しい気持ちになったり出来ました。

でも、ようやく役に入ることが出来たと思ったら、撮影が終わってしまったので、それが残念ではありましたが、今日、こうして記者会見の日を迎えることができて、とても嬉しいです。

また、松嶋さんは現場でも本当に優しく、親切にしてくださったので感謝しています。また、監督をはじめ、スタッフの方々にも本当に支えていただきました。

●記者:
ソンさんに質問です。
今回、日本語の台詞があったと思うのですが、苦労したことはありましたか?

●ソン・スンホンさん:
日本語の台詞は大変でしたが、言葉というよりも、僕は、その言葉にどういう感情を込めるかということが大事だと思います。そういった細かい感情表現は難しいと思いました。

それと、今回この作品を通して思ったことは、「何でもっと早く日本語を勉強しなかったんだろう」ということでした。

韓国は高校に入ると第2外国語を選択して、勉強できるのですが、当時はなぜか周囲で「ドイツ語を勉強していると頭がいい」というような雰囲気があって、僕もドイツ語を選択してしまっていたんです(会場笑)。
そのことを今になって、とても後悔しているので、韓国に帰ったら、また日本語の勉強をしたいなと思っています。

●記者:
松嶋さんとソンさんに質問です。
撮影時のエピソードがあれば教えて下さい。

●松嶋菜々子さん:
最初はどうにかして、コミュニケーションを取ろうと頑張って、必ず1日一言は韓国語で話しかけていました。

話すといっても「お疲れ様でした」などといった初歩的な言葉なのですが、韓国語で話しかけると、ソンさんは優しく微笑んで韓国語で返して下さったりしたので、そうして少しずつ、コミュニケーションを取っていきました。

●ソン・スンホンさん:
僕が野外での撮影をすると、必ず雨が降ってしまうので、今回も「また雨が降って、撮影できないね」という風に監督と話していたのですが、松嶋さんは反対なんですよね。
松嶋さんがいらっしゃると、雨が降っていても晴れてしまうという面白いことも起きたりしました。

以上