6月24日スペースFS汐留にて、映画『トイレット』完成披露試写会がおこなわれ、荻上直子監督、本作の唯一の日本人キャストもたいまさこ、長男モリー役のデイヴィッド・レンドルらが登壇した。

去年の秋、全編トロントで撮影された本作。3年ぶりの作品に監督は、挨拶だけでも緊張のようで。「今日は暑い中お越し頂き、有り難うございます。・・・楽しんで下さい!。」と挨拶。昨日カナダから初来日したばかりというデイビッドは、「コンバンハ、デイビッド・ランドルです。」と覚えたてなのかと思わせる日本語で挨拶。「この作品を作るのが、自分にとって素晴らしい”一つの旅”でした。日本に来られた事、皆さんと一緒にいられた事幸せに思っています。この作品を楽しんで頂けたら嬉しいです。」と喜びを語ってくれた。

全編トロントで撮影だけあって、スタッフもカナダ人がほとんどという国際色あふれる現場。その現場について監督は、「フィンランドの時(←映画『かもめ食堂』)もそうでしたが、映画を作る人は、”心”は一緒で、何処へいっても映画の言葉でしゃべれるので、コミュニケーションには不自由しませんでした。しかし12時間以内で終わらせないといけない規則がありまして、なので夜になると早く終わらせなければと思い、その部分においては大変でした。」とふりかえっていた。

初来日のデイビッドは、前から知っていた”うなぎ丼”を早速お昼に食べ、満足そうな様子。現場については「この映画を作る為に、本当に皆様がプロフェッショナルで、素晴らしかったんですね。一緒に仕事ができて素晴らしい体験でした。」と話してくれた。

荻上監督常連のもたいさんは、監督について「男前でした!!どんどん増していくんですよね。」と絶賛。カナダの現場ではカルチャーショックについて聞かれると、「”お食事”ですね・・・日本ですとロケ弁とかだと主なんですけど、向こうはキッチンカーが来ますからね!!それでいろいろな物を作ってくれますし、エスプレッソマシーンで本格的なコーヒーもいれてくれますし、ちょっと小腹が空いたらホットケーキ焼いてくれますし、なんて待遇なんだ!!と思いましたが、ごくごく普通な事でした。」と驚愕している様子であった。

本作を撮る原点について聞かれると「北米で映画を撮りたい思いがずっとありまして、映画『かもめ食堂』のスタッフの一人が日本に遊びに来てくれた時に、”日本のトイレはすごい”と絶賛。トイレに入る度に写真を撮って、私に見せてくれていて、そこからもしや、これはいい映画になるんじゃないかと閃きました。」と明かしてくれた。

カナダの役者さんが全員オーディションで決められたようで、モーリー役がなかなか決まらなかったようで・・・監督は「モーリー役は、ちょっと変な子の設定なんですね、だからずっと変な子を探していて、オーディションで中々変な子が出てこなくて、向こうのキャスティングディレクターからも”もう役者さんはいないから”と言われていましたが、”役者さんじゃなくていいから”と言った所、デイビッドを紹介され、この子は変な子だなとすぐ思い、決めましたね。」と話す監督に、観客は大爆笑。デイビッドは、「その通りで・・・監督はなぜ自分を見て、そう思ったのかもよく分かります。」と苦笑い。アーティストで活躍のデイビッドは、役作りについて、「今回アーテスとが誰しももつ苦労を極端に表現するのもあれかなと思い、4年間引きこもっている役ですから。リサーチといえば、”アゴラコピア(広い所の恐怖症)”・”ピアノの練習”が、このキャラクターの核にあると思ったので。更にすごく重要だと思ったのが、”彼の精神状態”。同時に非常に才能に恵まれている音楽家だという事なので、この2つを大事にして役作りを行いました。」とふりかえっていた。

8月28日(土)新宿ピカデリー・銀座テアトルシネマ・渋谷シネクイントほか全国公開