芥川龍之介の不朽の名作『トロッコ』がモチーフになった本作。5月22日(土)シネスイッチ銀座にて、映画『トロッコ』の初日舞台挨拶が行われ、川口浩史監督、尾野真千子さん、原田賢人くん(子役)らが登壇した。

オール台湾ロケで行われ、美しい映像が見所の一つでもある本作。そしてスタッフも台湾人が多く、異国の地の苦労について、聞かれると・・・監督は、「きっかけは、撮影監督のリー・ピンビンさんでした。彼が”台湾にトロッコの線路がまだ残ってるぞ。”と言ったので、僕が台湾に行きまして、そこから台湾の方々に協力頂いて、出来上がりました。そして台湾では一番だと言われているホウ・シャオシェン監督が我々に、”日本人の映画のスタッフ達にすごく助けられたんだ。だからお前が誰だか分からないけど、応援してやるぞ!”と言って下さり、日本の映画界の先輩方にも感謝ですし、この気持ちを後輩にも受け継いでいきたいなと思っています。」と語ってくれた。

原田君は台湾で1ヶ月間の撮影に、「自然が多くて良かったのですが、演技終わると、普通は”はい!カットです!”と言うと思うのですが、川口監督は、”はい!いいでしょう。”で終わってしまうので、自分の演技が大丈夫なのか不安で、心配でたまりませんでした。」と本音がポロリ。そんな原田君に観客は、大爆笑。監督はたじたじになりながらも、「いやいや・・・良いから、”良いでしょう”。」と原田君の言葉に驚きを隠せないようであった。そして異国の地に行ったら、何より食べ物が合うか心配の種。しかし原田君は「甘辛で、僕の好みでした。ですが、撮影中に食べ過ぎてしまって、太ってしまった事がありました。」と明かしてくれた。台湾では、弟の凱役の大前君と一緒に、台湾人のスタッフ・キャストの方々・おじいさん役のホン・リウさんと遊んだらしく「撮影の間にいろいろ話してくれ、本当のおじいちゃんのように接してくれました。映画中に出てくるホースで水をまいているおじさんが、弁当の割り箸とゴムで、ゴム鉄砲を作ってくれて、よく遊んでました。・・・最初は通じなかったのですが、身振り・手振りで接したんですけど、言葉が分からなくても伝えられる事ができるようになって、安心しました。」とたくさんのエピソードを紹介してくれた。

海外の撮影を初めて経験した尾野さんは、「緊張・・・かつ英語も私は苦手なので、何も通じないわけですよ・・・身振り・手振りは本当に通じるのだと実感しましたね。なので相手役の方とも身振り・手振りでやっていました。」と話してくれた。海外で評価されている作品に出演しているだけに、翌日結果発表がでる、カンヌのコンペ部門に出品している北野武監督・日本人の活躍について聞かれると、「私はカンヌに行かせて頂いた時に、結果待ちはすごく緊張するものであって、まさか取れるものではないと考えていたので、取れた時はすごく嬉しく、今は”頑張れ”とも何も言えないので、楽しみに待ってもらいたいなと思います。」とコメントしてくれた。

最後に監督から、「日本の社会が閉塞な状態なだけに元気つけたいと思ったので言いますが、歯を食いしばって誰のせいにもしないで、毎日日々を生きているご年配の方とか、子育てに一生懸命頑張っているお若いお母さん達を応援したいと思って作りました。一人でも多くの方に見て貰いたいと思っています。」と紹介してくれた。

映画『トロッコ』はシネスイッチ銀座ほか全国順次公開