全国の独立系の映画館150館の投票によりベストテンを決める「映画館大賞2010」の特集上映が行われ、4月23日(金)にシネマヴェーラ渋谷にて、特別部門の「あの人の1本」で女優の中谷美紀さんが選定した『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』が上映されました。30年以上にわたり、幼なじみと一緒に自身のバンド、アンヴィルに全てを賭けてきたリップスとロブ。多くのへヴィ・メタルバンドが大成功を収めるなか、彼らだけは実力を認められながらもいつしか一線から消えていった・・・。しかし二人は今も夢を捨てず、自分達の音楽が世界中で聴かれる日が来ることを信じてバンドを続けているのだった。二人の熱い友情と、音楽に向かう真摯な姿に号泣者続出の傑作映画! ゲストには音楽家でDJの高木完さんが登場しました!

「僕もアンヴィルと年が近いので、高木さんも夢を捨ててないですよね? なんて聞かれるのかなと思って、今日は来ました(笑)。へヴィ・メタルがブームだった頃は、彼らの着てる革ジャンや鋲ジャンが流行ってて、ヒップホップの連中も影響を受けて鋲ジャンなんかを着てたんですよ。日本ではハード・ロックやヘヴィ・メタルが人気があったし、BIG IN JAPANなバンド(主に日本で大人気なバンド)がいっぱいいますよね。アンヴィルも典型的なBIG IN JAPANなんだと思います。
僕は何の情報もなくこの映画を観たので、最初は『スパイナル・タップ』みたいな擬似ドキュメンタリーなのかと思って観てたんです。最初の方にアンヴィルに影響を受けたなんていうミュージシャンのライブ・シーンが出てきたりして、なんか嘘くさいんだけどよくできてるなあ、なんて思って観てたんですけど、途中であっ本当なんだ! って(笑)。
僕の周りの連中も皆、この映画はいいって言ってて、先日会ったウィルコのメンバーも、あれはいい映画だ! と言ってましたね。
この映画が奇跡的なのは、辛抱強く彼らに密着していることですね。カメラが日常生活に入っていて何かをつぶやいている瞬間まで入ってる。それが一つの作品として出来上がっているのが、本当にすごいよね。見逃せないです!」

映画館大賞:特別部門

■「あの人の1本」 3名の著名人(阪本順治監督、中谷美紀さん、竹中直人さん)が選ぶ、2009年に最も印象に残った1本。中谷美紀さんの『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』選定時のコメントは下記の通りです。

「夢を叶えるには人生は短すぎる。しかし、夢を諦めるには人生は長すぎる」と、ある監督は言いましたが、この作品はまさにそんな映画でした。ヘヴィーメタルなんて全く好きではありませんでしたし、始まって5分程で劇場を出ようか否か迷ったほど、退廃的で過剰なパフォーマンスに嫌悪感を抱いていたにもかかわらず、いつの間にか中年男たちが必死で夢を追いかけ生きる姿に引き込まれ、最後にはポケットティッシュを使いきってしまいました。