『カケラ』初日舞台挨拶 安藤モモ子監督、満島ひかりの「傷つきポイント見つけちゃって」と鬼監督並みの演出術を語る!

 4月3日(土)、俳優・監督の奥田瑛二、エッセイストの安藤和津夫妻の長女・安藤モモ子の監督デビュー作『カケラ』が公開初日を迎え、東京・渋谷のユーロスペースでの舞台挨拶に、満島ひかり、中村映里子、永岡佑、かたせ梨乃、安藤モモ子監督が登壇。
 会場は立ち見も出るほどの大盛況で、新人・安藤監督への映画ファンの期待を強く感じさせ、また新作のためにショートカットにした満島ひかりに多数のフラッシュがたかれ、昨年の新人女優賞を総なめした今まさに旬の人気ぶりを伺わせる舞台挨拶となった。

 人生初の「初監督作の初日」に臨んだ安藤モモ子監督は、心なしか緊張した表情で「外では桜も咲いているのに、映画館に来てくれて本当にありがとうございます!」と観客に深々と一礼。
キャスト達の「この映画は球体みたいな映画。いろんな角度から描いてくれた」(満島ひかり)、「初めての主演でつらかったけど闘い抜いた作品」(中村映里子)「映像も素晴らしいけど音楽もすごい。目と耳と心で監督の世界感を楽しんで」(永岡佑)、「28年前に植えられたモモちゃんの木が大輪の花となって咲いた日」(かたせ梨乃)という言葉が続いた。
 安藤監督は、今回のキャスティングのポイントが、いつもは感情を外に出す激しい役柄の多い満島ひかりに、自分に自信がなくて感情を吐き出せないハル役を、素顔はおっとりのんびりしている中村映里子に思ったことをストレートに表わすリコ役を演じさせる“逆キャスティング”だったことを紹介。話が撮影現場でのエピソードにおよぶと、しっとりした着物姿の大女優・かたせ梨乃もまじえて女性4人のガールズトークが盛り上がり、黒1点の永岡佑はタジタジ。中でも、“逆キャスティング”の2人への演技指導について、安藤監督が「私は2人への愛がいっぱいあるから愛があれば何してもいいと思って、2人の傷つきポイントを見つけちゃったので(笑)」と、満島ひかりに対しては演技指導もせずに一切無視して、役柄通りの不安な気持ちにさせ、一方、本作が初主演の中村映里子には一から十まで徹底的に厳しく演技をつけた裏話を披露。中村が「(あまりの演出の厳しさに)私が泣いちゃって部屋にこもって撮影止めたことがあって。。。」というと、満島が「私は誰からもかまわれないのに何なのよって、その部屋の前でとうとう監督と大げんか」と暴露し、安藤監督の演出術が鬼監督並みだったことを笑顔で明かした。また、女性監督でしか撮れない女の子のリアルな感情を描き出すこの映画で、満島は「私の役は動物みたいにそこにいる感じで、ワキも口ひげも眉も全身のあらゆる毛をはやしっぱなし。毎朝現場で監督がワキ毛チェックして“よし、伸びてる”とか言ったり(笑)」と、安藤モモ子監督の感性あふれるユニークな演出の一端を紹介して、会場を大いに湧かせた。

 本作は東京?ロンドン同時公開。ロンドンでも日本時間のきょうが初日で、安藤監督が「ロンドンにお知り合いの入る人はぜひおすすめください」と、期待をこめてメッセージして舞台挨拶は終了した。