12月5日よりTOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 梅田にて限定公開、2010年1月9日より全国拡大ロードショーいたします『キャピタリズム 〜マネーは踊る〜』。
監督のマイケル・ムーア氏が初来日し、東京・日本橋兜町の東京証券取引所にて記者会見を行いました。この場所で映画の記者会見が行われるのは史上初となります。本作は、ウォール・ストリートを発端に、全米へ、そして世界を不況へと導いた原因を、『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』のマイケル・ムーア監督が追求する “史上最強のマネーエンターテインメント”。

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【日 時】11/30(月) 11:00〜12:00
【会 場】東京証券取引所2F 東証ホール(東京都中央区日本橋兜町2-1)
【登壇者】マイケル・ムーア監督 通訳:竹内万理さん 司会:伊藤さとりさん
冒頭の挨拶:森永卓郎さん(経済アナリスト) 花束ゲスト:小倉優子さん(タレント)
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記者会見開始前に、本作の字幕監修をされた経済アナリスト森永卓郎さんより挨拶。

森永さん:
私はずっとマイケル・ムーア監督のファンで今まで映画を観てきたのですが、最高傑作と言っても間違いはないと確信を持ってオススメしたいと思います。私はこの作品を20回ほど観ましたが、何が素晴らしいかというと金融資本主義のドロドロの悪をこれだけ明確にスパッと切り取って見せた映画は今までにないと思います。
日本の不況の原因は何なのかについてはこの映画を観て頂ければわかるかと思います。是非、監督のコメントを楽しんで下さい。

監督:実はなぜ私がこのような変な格好をしているかと言いますと、昨日残念なことに私の荷物が積み残しにあってしまいました(笑)。飛行機の中で着ていたTシャツしかなく困っています。私のような体形ではなかなか洋服を見つけるのが難しく、相撲力士用のお店で色々と買った服で来ておりますので、今日はご了承下さい。という言い訳をしても、普段とはあまりかわらないかなと思っています(笑)。
昨日空港のカウンターで指紋を取るように言われたのですが、55歳になるまで指紋を取られることがなかったので、「なぜですか?」と質問したところ別室に連れて行かれ、「任意で指紋を取るか国外退去のどちらかです。」と言われたりと、空港で一悶着ありましたが、それ以外の日本の経験や印象はグレートです。

Q:東京証券取引所で記者会見をすることについてどのように思われますか?

監督:まず、この場所で初めて映画の記者会見をするのが私だということは知りませんでしたので、大変光栄に思います。正直言って、NYの証券取引所では入ることすら許されていません(笑)。作品のおもしろい裏話として、NYの証券取引所の周りで犯罪現場の黄色いテープを巻いているシーンがあるのですが、その撮影中にとうとう逮捕されてしまうのではないかと実は結構怖かったのです。すると、案の定警官が側にやってきたので、ついに逮捕されてしまうのだと覚悟していたのですが、「すぐ撮影が終わるので待って下さい。」とお願いしたところ、「好きなだけ撮影してもらって構いません。なぜならこの建物の中にいる連中はNY警官の年金を10億ドル分損したんです。」と言われたということもありました。

Q:日本も今アメリカと同じように大変な状況にあるのですが、日本人に熱いメッセージをお願いできますか?

監督:これまで私は自分の本や映画の中で、日本に対しては尊敬の念を持って描いてきました。
   現在、アメリカで家を失う、もしくは自己破産になる理由の第1位は医療費が高すぎて払えない、ということです。おそらく日本ではそのようなことはないと思います。なぜ日本の方々は、誰かが病気になったら助け合い、そして保険制度もちゃんとしているのだろうかと考えたところ、それは社会的にセイフティーネットを構築しているからだと思います。それが、残念なことにアメリカにはなく、どんどんお金がなくなって、家から出ないといけなくなっています。他の国では大丈夫なのに、なぜアメリカだけはこのような状況なのだろうかと、自分の作品の中で永遠のテーマとして描いているつもりです。私自身アメリカ人で、アメリカを愛していて、アメリカ以外には住みたくないとさえ思っていますが、アメリカの現状は目を覆いたくなることばかりです。アメリカを愛していますが、アメリカのようになりたいとかアメリカの真似をしたいといった思いは一切捨てて下さい。Be Japan!日本でいて下さい!みなさんが1945年以来作り上げた日本でいて下さい!教育の価値を十分大切だとわかっていた日本でいて下さい!そして、「解雇はしない」といっていた日本になって下さい!他国を一切侵略しない、そして侵略しようとする国をサポートしないと言っていた国に戻って下さい! 

小倉優子さんが花束ゲストで登場。

小倉さん:私は株をしているので、観る前からこの映画はとても興味がありました。ちなみに、株を始めて最初の2年はダメでしたが、3年目の今年で初めてプラスになりました。作品を観た感想は、アメリカの経済のことがすごくわかりやすくて、サブプライムローンやリーマンショックなどについてニュースを見ていない人でも「こういうことがあって今の経済状況なんだな」ということがわかって面白いので、私のような若い人達に是非観て欲しいです。あと、色々なところに突撃する監督がすごくかっこよかったと思いました。

監督:ありがとうございます。日本の若い方々からもたくさんEメールを頂戴しますし、『華氏911』という作品に関してはアメリカ以外では日本の興行収入が第1位でしたので、本当に日本の若い方々にもご覧頂けていると思いますし、日本の若い方々の教育の一環を担えればうれしいと思っています。
   私の88歳になる父に今週日本に行くと伝えたところ、大変喜んでくれました。以前、父とイラクとアフガニスタンの戦争について話をしていたのですが、なぜブッシュ前大統領が戦争を始めたかという理由は彼が戦争を体験したことがないからだと思います。もし戦争を知っていたら、絶対に2度と戦争を繰り返したくないと思うはずです。父は第2次世界大戦の海軍にいた頃に沖縄にいたこともあったので、今回沖縄にアメリカだけでなく日本の犠牲者の方々に献花をしに行こうかとも思っておりました。
   この世の中は悲観すれば問題も多く大変悲しい場所かもしれませんが、絶対よくなると私は信じています。常に大きな希望と楽観的な考えを持っていて、いつか我々は戦争を知らない人間になれることを願っています。明日オバマ大統領がアフガニスタンの戦争を拡大するかどうかの発表をしますが、私は彼に直接父や父の友人たちの個人的なリクエストで「オバマ大統領、あなたは戦争をご存知ない。戦争を知っている我々はもう戦争はしたくありません。」といった内容を送りました。本日、日本のみなさんと平和へのメッセージをわかちあえることをうれしく思います。この戦後60年以上、日本のみなさんは平和への旗手として活躍されたと思っています。ありがとうございました。