「少年トロツキー」のゲストをお迎えし記者会見が行なわれました。

■日時・場所:10月23日(金)、16:15 @ムービーカフェ
■登壇者:ジェイコブ・ティアニー(監督/脚本)、ケヴィン・ティアニー(プロデューサー)

素晴らしく元気の出る作品で、上映後の場内の熱狂ぶりも感動的でした。まずは、初来日のジェイコブ・ティアニー監督、3度目の来日となる監督のお父様でプロデューサーのケヴィン・ティアニーさんに、まずは、来日されて1週間経った東京の印象について伺いました。
監督:初めて訪れましたが、驚くことばかりで、皆さんには本当に温かく接していただいて、素晴らしい時を過ごしています。
ケヴィンさん:3度目の東京ですが、初めての東京国際映画祭です。言うまでもなく素晴らしい映画祭ですが、次回はビジネスではなくプライベートで、そして東京以外の場所も訪れてみたいと思っています。

質問:監督はトロツキーオタクだと伺いましたが、そのきっかけと、ケヴィンさんの反応はどうだったのでしょうか?
監督:トロツキーも好きですが、それ以上にホッケーファンなんですよ!具体的なきっかけは何だったのかわからないのですが、十代の頃に興味を持ったのは、トロツキーの思想ではなく彼の生涯です。医学生だった彼がメキシコシティで暗殺されるまでの、とてもドラマチックで、そしてロマンチックな人生です。
ケヴィンさん: 自然なことだと思いましたよ。私はいわゆるキャビア共産主義者です。どちらかと言えば左派で1974 年には社会主義政府のアルジェリアへ行きました。1982年には、ジェイコブを連れて中国へも行きました。映画の中でレオンがお父さんからもらう「毛沢東語録」は、私が中国の蘭州大学で教鞭を取っていた頃に買ったものです。地元の託児所に入れられていたジェイコブは、蘭州語を流暢に話していました。でももう少し良い生活をしたいと思い教師を辞めて、映画制作を始めました。

質問:ジェイ・バルチェルさんが最高のレオン役を演じていましたが、後が『ミリオンダラー・ベイビー』に出ているということを知って驚きました。
当初は、ジェイコブさんご自身がレオン役を演じることを想定していたと伺いましたが、バルチェルさんを起用した理由を教えてください。
監督: 自分のために脚本を書いたわけではありません。若い頃にたくさん書いた脚本のひとつで、これを自分が監督するということまで考えていませんでした。こども時代、ジェイは近所に住んでいたんですが、彼のことは良く知りませんでした。ただ、彼が俳優になったことは知っていて、『ミリオンダラー・ベイビー』に出演していることも知っていました。実際にこの映画を作る段階になって、父も私もジェイがこの役にぴったりだと思いました。ジェイも快く引き受けてくれて、本当に素晴らしい演技をしてくれました。

質問:ストーリーがおもしろいだけではなく、今の時代に合っていると感じました。マイケル・ムーア監督が『キャピタリズム』という映画を作ったり、今度この『トロツキー』が出てきて、社会主義的なことに興味が向いているのかなと思ったり、アメリカでも日本でも政権が交代して、世の中が変化を求めているということも、この映画が作られる背景にあるのかと思いますが、いかがでしょうか?
監督:残念ながらカナダでは、まだ保守党が政権を握っていて、アメリカや日本とは風向きが違うように思います。それほど変化が求められていません。この映画は社会主義を奨励するものではなく、皆さんに笑って楽しんでほしいということもありますが、それ以上に人々にもっと積極的に自分の生活に関与し、責任を持って生きてほしいと呼び掛けています。この映画でレオンはみんなにもっと積極性を持ってほしい、積極性を持つことで前進できるということをうったえているんです。
ケヴィンさん: 下品なジョーク満載のアメリカン・パイでなくてもおもしろおかしくすることはできるんです。

質問:人類に対して素晴らしい作品をありがとうございました。トロツキー本人が提唱した共産主義国は既になくなり、世界からイデオロギーとしてのコミュニズムがなくなりつつある中、主役のジェイに対してどのようにコミュニズムを演技指導したのでしょうか?
監督:特に指導はしませんでした。役者には、それぞれ自分なりの準備の仕方があります。十分に役作りをしてくる役者もいれば、何もせずフレッシュな状態で撮影現場に入る役者もいます。ですからジェイがレオン・トロツキーのことを知っているかどうかは重要なことではなかったんです。脚本を、そしてレオン・ブロンスタインという青年を理解してくれ、レオンになり切って演じてくれることだけを望みました。彼なりに下調べをして来たようですが、あえて話し合うといったことはしませんでした。

質問:男子高校生が主人公の場合、全てを成し遂げてやっと恋を手にするというのがお決まりのパターンですが、この映画では40分程でベッドインします。これは監督の実体験を元にしているのですか?
監督: 現実はそうは行きませんよ!ただ、相手をベッドに連れ込むことを最終目的として描きたくなかったんです。先ほど申し上げました通り、アメリカン・パイではないですからね!