第22回東京国際映画祭が10月17(土)〜10月25日(日)に開かれる。それに先立ち、コンペティション出品作品、オープニング・クロージング作品が9月16(水)に記者会見にて発表された。記者会見には映画祭大使の木村佳乃さん、グリーンアンバサダーの杏さんが出席し、またコンペティション出品作品の一つ『ACACIA』で主演を務めた、アントニオ猪木さん、辻仁也監督も登壇し、挨拶を述べた。
辻監督は、映画を作ったきっかけを「個人的な理由で作りました。僕には2人の息子がいますが、一人の息子には事情があって会えません。その息子への思いを映画にのせて作りました。自分に出来ることはこういうことぐらいだと思います。」と語り、心の内を明かした。
一方、お決まりの「元気ですかー!!」で登場し、会場の空気を一転させ、エネルギーを注入した猪木さん。「まさか映画に出るとは、思ってもみなかったです。でも1回ぐらいやってもいいかなと思い、出演させて頂きました。人生は、一寸先は闇ではなく、一寸先はハプニング!何か起きればおもしろいなと思いながら、撮影に挑みました。」と猪木さんらしいコメント。

そんな調子の猪木さんを見ていた辻監督は「猪木さんは冗談ばかり言っていますが、普段は全然違いますよ。泣くシーンがあるんですが、そのために朝から役作りをしていて、誰も近付けませんでした。猪木さんは本当に真面目な方で、普段は星と光とお月様の話しかしないんですよ。現場に入ってカメラを回すとすごく気迫に満ちていて、普段はその気迫を闘魂でしか表さない方ですが、本当は内側に秘めた思いをすごく持っている方なんです。」と猪木さんの魅力を語り、普段とは違う猪木さんの新たな一面を伺うことができた。
最後の挨拶で、猪木さんは「私は昔、子どもを8歳の時に亡くしまして、そんな事を思うと映画のストーリーと自分とが重なる部分があり、込み上げてくる思いがありました。そういう感情を出せればと思い演じました。」と真摯な面持ちで明かした。

この他、記者会見では依田巽チェアマンの口から、『ザ・コーヴ』が上演作品に加えられることが発表された。同作は和歌山県太地のイルカ追い込み漁を追ったドキュメンタリー映画で、サンダンス映画祭でアメリカ観客賞を受賞した話題作でもあるが、そのショッキング内容から上映が見送られていた問題作でもある。

(Report:竹尾有美子)