記者:日本からは、かぐや(という月周回衛星)が月面探査を行っているのですが、かぐやに何を期待されますか?

博士:かぐやの初期の画像が鮮明なのに驚きました。中には、アームストロング、オルドリン、コリンズの名前が付けられている、本当に小さなクレーターまで写っていて、感銘を受けました。こうして各国が探査を続けて、より詳しい情報が集まるというのは素晴らしいことだと思います。これらによって、もし我々がまた月へ行くとしたら、どこに着陸するのがいいか、といった情報も得られるでしょう。次に着陸するとしたら、もっと資源が豊富で発見しやすい場所が良いと思います。例えば、氷があれば、水があるでしょうし、水があれば水素と酸素があるかもしれない、または塵から炭素ができるかもしれないですからね。また科学者の中には核融合に使える材料があるかもしれない、と考える人もいます。これについて私は疑問に思っているのですが。こういった資源の有無を含めて、各国が協力しあって探査を行うことで、宇宙に対してさらに理解が深まると思います。一国が争って基地を作るのではなく、まずは国際的な機関が主導で月へ行って、その後にNASAが基地を作っても良いかもしれません。
また月での滞在時間が長くなれば、我々は月だけに着目するのではなくて、他の惑星にも関心を向けるべきだと思います。私のビジョンは、火星の月に着陸することです。火星の月を探査して、着陸できれば、次のステップは火星です。火星ではコロニーを作って長期間住めるようになれば、とても素晴らしい未来が広がると思います。

記者:今、世界中で地球温暖化の影響による様々な被害が起きていて、温暖化防止が取り組むべき課題となっていますが、オルドリン博士は宇宙から地球を見た人類の一人として、どう思われますか?

博士:地球温暖化については、みなさんが言葉の意味や使い方を混乱されているのではないかと思います。そもそも地球というのは温暖化と冷却化を何万年も繰り返してきました。これらに対して人類が与えている影響はそれほど大きくないと思っています。温暖化が悪い事である、と決め付けることには疑問を感じています。例えば、温暖化が良くないので、中東から石油を買うべきではない、また代替エネルギーを開発しなければいけない、という議論をよく耳にします。そもそも大学や研究機関は資金を集めるために、今の状況が続けば災害が起きる、地球が崩壊するなどと、ドラマチックな説明をするものです。また、世界に警鐘を鳴らす人々というのも、どの時代にも存在するものです。現在の温暖化の原因については、まだ不明瞭だと思います。そして、それを全て二酸化炭素のせい、人間のせいにしてしまう事には疑問があります。
そこには必ず、自然による影響もあると思います。例えば、太陽との位置関係によるものです。
さらに言えば、アメリカや日本といった先進国が大量の資金を使って二酸化炭素の排出を抑えたとしても、インドや中国といった大きな国々が構わずに二酸化炭素を出してしまうという現状を考えると、どのように資金を活用するのがベストなのかを考えなくてはいけないと思います。
とは言え、私自身も、もちろん代替エネルギーの開発は必要だと思っています。
そのためには太陽のエネルギーを使うのが一番効果的です。太陽のエネルギーは24時間、地球のどこかに注いでいるので、それをエネルギーに換えれば効率が良いと思います。
いずれにせよ、温暖化については、パニックになるような状況ではないと思います。

MC:月から地球を見た時には、どのように感じましたか?

博士:とても謙虚な気持ちになりました。考えてみれば、我々3人は、地球からとても離れたところへ来て、そこから地球を見ていました。その3人の内の1人になれたことを大変嬉しく思いました。何億人という人々が暮らしている地球を私達は外から見ていて、反対に地球にいる人々は私達のことを考えてくださっている、そういった心の繋がりのようなものを感じて、とても感銘を受けました。同時に、何という特権だろう、と思いました。良い時期に生まれて、良い時期にパイロットになるタイミングに恵まれました。人生に1度の経験だ、とありがたく感じたのをよく覚えています。また、地球にいる私達が、どれほど恵まれているのか、ということを考えました。

記者:博士は月を望遠鏡で観ることはありますか? また月を観て、どのような事をお感じになりますか?

博士:実はアポロ計画で月へ行く前に、何度かニューメキシコの観測所から月を観測する機会がありました。自分の小さな望遠鏡で観るのとは違って、とても綺麗に見えました。かつての宇宙開発者たちが憧れた、本当に美しい月を皆さんにも観て欲しいと思います。コンピューターを初めとする、技術や知識の進歩も実感します。私が子供のころは、どうして太陽は熱を持つのか、どういった仕組みで爆発しているのかさえ、分かっていませんでした。
エドウィン・バッブルは銀河系が広がっているという研究を発表しました。そこから現在までの間、宇宙についての知識の広がりは目覚しいものがあります。
それに比べて、日々の私達を見てください。他人から物を奪ったり、自分達の欲のために争ったりして、人間の間の争いは絶えず、目を覆いたくなるものがあります。人間には人間同士の付き合い方の知識が必要なのではないかと思います。
この2つが、発展していくことを祈っています。
そして私は宗教指導者であるよりは、宇宙飛行士でありたいと思っています。

そしてなんと今回、スペシャルゲストとしてスヌーピーが登場!
スヌーピーは1968年、NASAのアポロ計画の番犬に任命されました。チーム全体を勇気づけ、アポロ計画を成功に向かわせるという重大な役目についたのです。間近に飛行を控えた宇宙飛行士たちは、月着陸船に“スヌーピー”、司令船に“チャーリー・ブラウン”というコードネームをつけ、多くの困難が予想されるこのミッションを、ユーモアをもって乗り切ろうとしました。結果、見事にアポロ10号を成功に導いたスヌーピー。
その功績が称えられ、のちに月のクレーターに“スヌーピー“と付けられたということです。
そのように本作と関わりの深いスヌーピーが、バズ・オルドリン博士の来日記者会見に応援に来てくれたのです。

これにはオルドリン博士もうれしそうにほほ笑み、スヌーピーを本作の「応援ワン長」に任命。
「スヌーピーは、宇宙開発において、素晴らしい功績を残した方々に送られる、私にとっても象徴的なキャラクターです」とコメントした。