2007年秋、放送を終了したFMラジオドラマ「泣きたいときのクスリ」全36話(5分枠)は、番組の完成度が高いと呼び声のある作品だった。その完成度の高い作品をぜひ映像化したいという制作者の思いから、映画『泣きたいときのクスリ』は誕生した。また、ラジオドラマ同様、本作にもオロナインH軟膏が特別協賛として参加している。

5日(水)、オロナインH軟膏55周年記念作品『泣きたいときのクスリ』製作発表記者会見がグランドプリンスホテル赤坂にて行われ、主演2作目となる大東俊介をはじめ、戸田菜穂、袴田吉彦、若手実力派のWカンヌ女優・佐津川愛美(『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』)と北浦愛(『誰も知らない』)、福島三郎監督(『東京サンシャインボーイズ』)らが登壇した。

主演を演じた大東は自らの役について、「僕は妹を亡くし、受け入れられずに現実から逃げている兄を演じました。せりふは少ないのですが、感情を大事に丁寧に表現することを心がけました」、また「涙は人の感情の表れなので、いろいろな感情を大切にしようと思いました」とコメント。

ほかのキャストも、「私はファッション業界でバリバリ働いていたはずが、やがてお荷物扱いされて友達は飼っている犬だけ・・・という役を演じましたが、一人だと思っていても実は温かい視線で守られているといったことを意識しながら演じました。共演したワンちゃんは、聡明ないい子でした(笑)」(戸田)、「僕は30歳にして憧れの駅員になれた男を演じましたが、一生懸命やればやるほど戸田さんにドン引きされましたね(苦笑)」(袴田)と撮影時を振り返った。

等身大の女子高生を好演した佐津川と北浦は意外にもこの“女子高生”役が難しかったそうで、北浦が「普通の女子高生役というのはむずかしいです。監督からは“気持ちを相手に伝えることが大切なんだ”と教わりました」と言うと、監督は「俺、いいこと言ったんだな」と笑い、佐津川が「リハーサルと本番では全く演出や演技が変わりました。本番で相手の芝居を見たらやりたい演技が変わったんです。私が演じた女の子にはいろいろな表情があるということもわかって、監督からは“コメディエンヌ”と言われましたけど(笑)」とほほ笑むと、「(リハと本番が全然違うって)なんか俺、いい加減な監督みたいだ(笑)」とコメントし、会場を沸かせた。

また、本作の画期的なところは何と言っても、JFN系FM局の人気パーソナリティ13名が声による映画出演にトライしているということ。劇中に流れるラジオの声のパートを各局の人気パーソナリティが務めるため、13パターンの映画が作られるのだ。東京ならやまだひさしさんetc・・・
出演は困難だが、声だけの出演ならば……ということで、このおもしろい企画が実現したそう。

本作は、東京をメイン都市として、全国13館以上(ラジオOA地区)をカバーした都市で上映予定だ。

(Report:Naomi Kanno)