アメコミ界から、猫と葉巻とチョコバーを愛する異形のスーパー・ヒーローが登場した。生まれは地獄。使命は、魔物退治。

04年のシリーズ第一作 映画『ヘルボーイ』を上回るヒットを記録し、全米初登場第1位を獲得、来年1月9日の日本公開が決定した『ヘルボーイ/ゴーデン・アーミー』のプロモーションのため、監督・脚本を務めたギレルモ・デル・トロが『ブレイド 2』以来6年ぶり、さらには前作『パンズ・ラビリンス』でアカデミー賞を獲得してからは初めての来日を果たした。

記者会見に姿を見せたメキシコ出身の監督は、「オーラ!(スペイン語で“やあ!”の意)」と元気にあいさつをし、「来日は4度目になるよ。尊敬できる文化を持った国だから来ることができてうれしい」とご機嫌な様子。そして日本にちなんで、「(本作には)モンスターがたくさん登場するが、対決シーンはまるで相撲トーナメントのようだよ」とユニークな発言でマスコミを沸かせた。

監督のモンスター好きの理由は、「モンスターには人間より強く純粋な精神性を感じる。悪魔やモンスターというのは、精神世界のコスモロジーの一端を担っているから心惹かれてしまう」とのこと。そして「ちなみに、僕が一番好きなのはフランケンシュタインだよ!」と語るその様子は無邪気な子供のようだ。

そんな監督は、大作『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前章となる「The Hobbit」(小説邦題「ホビットの冒険」)の監督にも大抜擢されるなど、なんと2017年までスケジュールがびっしり! これに対して「様々な企画が進んでいるけど、どれも執筆は終わっているものばかり。僕は常にノートを持ち、その時々で思いついたストーリー、絵、アイデアを書き留めているんだ。それに僕は家族と住む家とは別にもう一つ家を持っているので、そこで創作活動を一日中していたりするね。仕事が大好きなんだ」と、意外にも楽しそうだ。

また、アメコミ界でも超個性派として知られる「ヘルボーイ」というヒーロー像については、「僕の自叙伝のようだ。体の大きいところや、無責任なところがね(笑)」とジョーク交じりにコメント。また監督の出身地であるメキシコでは、日本のアニメーションがよく放送されていたそうで、宮崎駿、押井守、大友克洋など日本のクリエイターたちから受けた影響はとても大きいのだそう。ほかにも溝口、黒澤、小津といった日本を代表する映画監督からも多大な影響を受けたそうだ。

当日は応援ゲストでキモカワ芸人と呼ばれるジョイマンが登場し、“ネギトロ・中トロ、デル・トロ”などのネタお披露目もされ、監督と共に日本での『ヘルボーイ/ゴーデン・アーミー』のヒットを願った。

(Report:Naomi Kanno)