第21回東京国際映画祭 コンペティション部門『ハーフ・ライフ』は、フィルム・インディペンデントのディレクターズ・ラボでリゴ・ガルシア師事の下、制作されたジェニファー・パング監督初の長編作。23日、ジェニファー・パングさんほか3名のプロデューサー、ルーベン・リムさん、アラン・チャンさん、マーク・リーさんをお迎えして、記者会見が行われました。

■ 記者会見 10月23日(木)15:30〜 (ムービーカフェ)
■ 登壇者 ジェニファー・パング(監督)、ルーベン・リム(プロデューサー)、アラン・T・チャン(プロデューサー)、マーク・E・リー(プロデューサー)

監督: 東京は見事な建築物と素晴らしい人々のいる素晴らしい街。お招きいただいて感謝しています。

リムさん: 日本へ来て、森タワ−の49階から見渡す東京には感心するばかりです。ロスともニューヨークとも違う、すごい街です。異文化体験を楽しんでいます。

チャンさん: 3度目の東京です。実は、18年前に東京で勉強していたことがあります。久しぶりの東京で、当時の友人達と再会でき、嬉しく思っています。グリーンカーペットは初体験ですし、このようなワクワクする映画祭に参加できて幸せです。

リーさん: 彼らと全く同感です。一言付け加えたいのは、東京を発つ時、きっとまたすぐに戻って来たいと切望するであろうということです。

質問: この映画は、人間関係について、そしてロス郊外に暮らす人々の民族的背景を描いていますね。アメリカには、アジア系アメリカ人の映画制作団体のようなものはあるのでしょうか?
監督: アジア系アメリカ人による映画制作グループや、また個人的に連絡を取り合っている監督がニューヨークとロス、それからサンフランシスコにもいます。若い頃につくったショートフィルムは、いくつかのアジアン・アメリカン映画祭に出品しました。アジア系アメリカ人の監督や役者による作品を発表できる場を提供してくれるなど、とても協力的です。

質問: 皆さんは、以前からチームを組んでいらっしゃるのですか?

監督: 人によって出会い方は異なりますが、このメンバーでの制作は初めてです。ルーベンとは別のプロジェクトで知り合い、短編などでコラボレーションしたことがあります。『ハーフ・ライフ』の制作に真剣に取り組もうと決断した時に、彼を誘いました。

ルーベンさん: ジェニファーは、とても情熱的で明確なビジョンを持った監督です。台本は二人で完成させました。インディペンデント映画制作を成功させるために、コラボレーションは欠かせません。今回アランやマークの協力が得られたことは、大変ラッキーです。

チャンさん: ジェニファーは、友達の友達からの紹介です。映画制作に係るアジア系アメリカ人が年々増加しているようです。アメリカで制作活動を開始するのは容易いことではありませんから、協力を得られる体制があるということは心強いことです。また、アジア各国における映画祭は、活動の場を構築し、色々な人たちに作品を鑑賞していただき、また、アジア系アメリカ人についてのストーリーを知ってもらう絶好の機会です。

リーさん: 私は、『ハーフ・ライフ』の制作途中に、家族の友人の紹介され、参加することになりました。撮影済みの場面を見せてもらい、演出や撮影術、演技、制作レベルの高さに感心しました。この映画には、アジア系アメリカ人に焦点を合わせた側面、ストーリーの奥深さ、それから他の民族や国籍の人にも共感できるテーマが含まれています。幅広い層の人に見てもらいたいと思います。

質問: ストーリーに、特にアジア系アメリカ人を意識したアジア系アメリカ人ならではの視点は含まれていますか?

監督: 大学でマスメディアについて勉強したのですが、アジア系のコミュニティにぽっかりと開いた大きな穴があることに気づきました。そして、誰も見たことのないようなアジア系の家族を描きたいという衝動に駆られました。また、そういった人種的な枠を超えて、個人的に興味のあるものにも触れてみようと考えました。アジア系アメリカ人に関しては、アウトサイダー的な意識が暗黙の内に存在しています。圧倒的に白人が多いコミュニティの中では、一見同等の付き合いをしていても、やはり彼らとは違う部分があり、それをあえて楽しんでいるということもあるんです。