六本木で開催中の第21回東京国際映画祭コンペティション部門に出品した映画「アンナと過ごした4日間」の記者会見が行われた。

ポーランドが誇るイエジー・スコリモフスキ監督が登壇し本作の魅力をゆっくりだが力強く語った。彼にとって17年振りの新作は、向かいの女性の部屋を覗いていた主人公レオンの行動がエスカレートしていく様を繊細に描いた作品だ。
本作は日本の話題が原案になっているという。「新聞に一行だけ載っていました。日本の内気な少年が自分の好意を伝えられず、夜中数時間ただ彼女を見て過ごしたというものです。これがスタートラインだと確信しました。17年間の不在をこえて、映画に戻ろうと思ったときにこの一行をやろうと思いました。」

レオンの行動はストーカーに近い。しかし、人との絆を求める欲求は誰もが持っている。レオンの行為は許せるものなのだろうか。
「私たちは彼を許せるのか、ということが映画の主題です。犯罪的な行為に至っているが、彼の持つ愛情と欲望が理解できるかどうか。私は意図的に彼を悪く思わせるイメージを羅列しました。映画が進むにつれて、だんだんと彼自身を明らかにしていきました。そして、観客が彼を誤解していたことに申し訳なさを感じるように仕向けました。」観客に罪悪感を植え付ける演出は見事だ。

最後は日本語で「ありがとう」と笑顔で挨拶し、記者会見終了後、サインを求めるファンにこたえた。

(Report:Hiromi Kato)