10/14(火)お台場のホテル『グランパシフックLE台場』にて、『殯の森』でカンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した河瀬監督の最新作『七夜待』の11月1日の公開に先駆けて女性限定試写会が行われました。当日は映画の舞台であるタイをイメージした花々がステージの脇を飾り、客席には豊潤な香りが漂うキャンドルも焚かれた中、主演の長谷川京子さん、河?直美監督が登壇し、ガールズトークに華を咲かせました。

映画『七夜待』女性限定試写会
会場:グランパシフックLE台場
登壇者:長谷川京子さん  河?直美監督

司会者:それぞれ一言ずつお願い致します。

河?:本日は長谷川京子のエロティックな美しさを存分にお楽しみください!

長谷川:少しの時間ですが、私と直美さんのお話を楽しんで頂けたら幸いです。
そして直美さんの言うところの『エロティック』な私の姿もお楽しみください。

司会者:監督は、今回なぜ映画の舞台に『タイ』を選ばれたのですか?

河?:タイのマッサージが本当に気持ちよくて、『滞りを流す』という考えがすごく素敵だなと思いました。出家僧の考え方やその人たちとの関係性の中に『徳を積む』というものがあるのですが、最近の日本では感じにくくなっているこのような文化を伝えたいと思って、映画を撮りました。

司会者:大きな発見は?

長谷川;自分が国外に出て、まず今回はスタッフの中にタイ人、フランス人がいて、その中で自分が日本人だというアイデンティティを改めて考えざるをえない状況でした。
自分は恵まれた環境の中で甘えて育ってきたことを身をもって実感しましたね。

司会者:河?監督からみて長谷川さんという女優さんはどのような方ですか?
河?:非常にナチュラルで、素朴で無垢なものをもっていて、そういった表情が映画に強く表れていましたね。

司会者:女性監督に撮られることによって、長谷川さんご自身はいかがでしたか?
長谷川:監督として、表現者としてはもちろんのこと、ひとりの『女性』として、人生の先輩として尊敬しています。きちんと自分の生活や家族を守りながら、こういった作品を創れてしまうことは本当に素晴らしいですよね。 昔は『二頭追えぬものは一頭を追えず』
と言ってましたが、『二頭も追えるじゃん!』って河?監督を見てて思って刺激を受けました。

司会者:長谷川さんは今回はタンクトップ・タイパンツ・ほぼすっぴんで撮影に臨まれてましたが、いかがでしたか?

河?;タイの森の中での撮影だったんですけど、空気中に水分がたっぷり含まれている感じでしたから、身体の中から美しくなる要素がたっぷり詰まっているとおもいます。そういったものが、余計長谷川さんが美しくさせたんだと思いますよ。
衣装もほぼ自前に近かったし、ブラジャーもほぼしていなかったですよね?!

長谷川:ちょっと恥ずかしながら・・・していなかったと思いますよ(笑)

河?:突き詰めていくと、妖艶なエロティシズムや生々しさがでてくるんだと思うんですよね。それをタイで長谷川京子が体現しております!!

司会者:泥だらけになっての撮影でしたけど、大変な現場でしたか?

長谷川:それはやっぱりタイの環境が大きく左右していたとおもいますよ。さすがにこの恰好で日本は歩けないけど、タイの解放的な空気感や湿度が、『余計なものは拭い去りたいという気持ち』を強くさせましたね。

司会者:身体のラインもきれいだったけど、美のためにこころがけていたことは?

長谷川:非常に熱い環境だったので、とにかく水分をとること、きちんと食事をすることを心がけましたね。それでも、タイでの10日間だけだけど痩せましたよ。

河瀬:私も長谷川さんにも専属のマッサージがいたんです。毎日の滞りをその日のうちに流して、また明日から新しい自分をむかえるというようなことをすると、パワーがでてきましたね。

司会者:この映画の主人公も長谷川さんの30歳ということで、この作品にでられて長谷川さんご自身変化はありましたか?

長谷川:実際撮影を終えてこうやって一年後に直美さんと再会した時に気づいたんですけど、『リアルな彩子(作品中の主人公)だったね』と言われたんですよ。
そういう意味では確かに30歳を迎える前のもがき苦しんでいた時期の自分と役というのがシンクロしたんですよね。
いわゆる20代前半って、お洒落して、いろんなものを身につけて、少しでもきれいになりたいと思っていたし、そういう女性は多いと思うんですよ。
でも30代っていうのはそういうものを取り払っていく時期であって、そこに本当の美しさや色気があるんじゃないかなと、作品を通して勉強になりました。

司会者:長谷川京子さんの演技に驚かされたことは?

ふいにケンカになった時、ケリがでたんですよ。それをみてて、『これが長谷川京子だ!!』
と思いましたね。

司会者:アラサーの皆様にメッセージをお願い致します。

長谷川 30歳ってとても楽しいですよ! もちろん責任は伴いますけど、『いよいよ楽しくなってきた!』という感じがしますよね。

河?;頑張らないでいいんじゃないですかね。 あんまり頑張りすぎて、笑顔がなくなると男の人から怖がられますよ。強いものだけが前面にでてる女性っていうのは怖いですからね。私だって甘えるときは甘えますよ。

長谷川:甘えるというより、自分を許してあげることが大事ですよね。

河?:今みんなお化粧も上手だし、情報もたくさんもっているけど、こんな自分でよいのかなってどこかでつまずくことがあると思うんですけど、もとの自分を許してあげることは大事ですね。

司会者:心も身体もキレイになることをみんな求めていると思うのですが、おふたりは
何が必要だと思いますか?

長谷川:やっぱり恋や愛が原動力ですかね。 相手へのスタンスも20代から変化がありましたね。あまり求めすぎずに、自分が好きでいることに重きを置くようになりました。
直美さんは奈良での撮影の時だんなさんとラブラブでしたね!

河?:今日も奈良駅でお互いの顔を携帯電話で取り合って、後でお互いが撮ったものを送りあってました(笑)

最後に、来場者から質問。
『最近ご自身がキレイになったと思う瞬間はどんなときですか?』

河瀬:大切なことを誰かと分け合えるということは人生のハリに繋がりますよね。
人と人とは網目状のようにつながっていて、自分という存在は相手がいることによって輝くと思うんです。今は、長谷川さんとお仕事をさせて頂いて、こうやってたくさんの人と出会うことで、強いパワーが集まってきているような気がします。

長谷川:ちょっと質問の趣旨からはそれてしまうかもしれないけど・・
人生の中で『女優』というものが多くを占めているわけではないんです。
そのお仕事以外での日々が、それぞれの仕事にいい影響を与えればいいと思う。
先日ドラマの撮影で先輩の方がおっしゃっていたのですが、
『本当の作り手というのは、富士山を山の形に書いていてはだめで、マルを書くくらいのことでなきゃ』と。つまり誰かが設定した基準ではなくて、自分が思う正しい生活・視点を持つことが本当の美しさに繋がるんだと思うんです。