いよいよ公開が来週末9月27日(土)に迫ってきた『コドモのコドモ』。

本作は子供たち本来の力強さと大きな可能性が描かれており、そこで子供たちと接して教育に従事されている方、教育者を目指している方(教員、養護教員、保育士、スクールカウンセラー、性教育を実施されている産婦人科医、教員を目指す学生など)をお呼びし、「教育者試写会」を9月13日(土)に開催しました。

日時:9月13日(土)開場12:00/開映12:30
萩生田宏治監督×根岸洋之プロデューサー ティーチイン
場所:映画美学校第一試写室

司会:まずはお二人から一言づつお願いします。

萩生田監督(以下、監督):フィクションを通して、普段の生活では見失いがちな子どもたちの力強さを描くために、この映画に取り組みました。今日は教育現場の皆様がいらしゃってるとの事で、逆にいろいろとご意見をいただければと思います。

根岸プロデューサー(以下、プロデューサー):この作品は、子どもたちが実際に成長していくというドキュメンタリー的な部分と、過激な設定ではありますが小学5年生の妊娠、出産というフィクションの部分が、監督の手腕によって見事に融合している作品が出来上がったと思っています。

Q:私は40年、教師をやっていました。いつも子どもたちのパワーというか、自立心と自律心に接し感動していました。この作品で、学級崩壊しているクラスの子どもたちが、出産に向かって、まとまっていく姿にたいへん感動しました。性教育をして罰せられる先生がいたり、今の日本の教育現場では教師が萎縮してしまっています。この映画を現場の先生たちが観たら、力づけられると思います。ありがとうございます。

監督:恐縮です。実際の先生たちにも取材はしたんですが、現場と映画のリアルさに差があって、今日は怒られるかなと心配していました……。良かったです。

プロデューサー:現場に行くと、監督が先生のように見えましたね。

監督:演出するときに教壇に立って話すこともあったんですが、教壇に立つと、何故か言ってはいけないことがあるんじゃないかという恐れを、感じることがありました。八木先生役の麻生久美子さんも、ロケ地にある小学校を取材し、10分だけ本当に授業をやらせてもらったのですが、麻生さんも同じことを言っていましたね。

Q:初めて「どうやって子どもが産まれるか」を知るキャストの子役たちもいたと思いますが、どのように対応されましたか?

監督:オーディションの時点で、本人と保護者の方にはきちんと内容をお話し、了承をいただいてました。子どもたちにどれぐらい学校で教わっているかを聞いてみたら、年齢や地域によってバラバラでした。共通の見解を持つために、性教育の講演やシンポジウムを実施されている方に、子役や保護者の方、スタッフを集めての性教育の授業をしていただき、撮影に挑みました。

Q:産婦人科の医師で、性教育も教えております。このような題材の映画は、どうかなぁと思っていました。救いはやっぱり性教育は大事だときっちりと本作は伝えてくれていることです。映画の中では八木先生がピンボケだけど頑張って教えてましたが、八木先生が教える前に妊娠していたということが映画の中できちんと描かれていました。だからこそ(性を教えることは)大事なんだよと、(本作で)言えると思います。性教育は絶対に必要です。ですが今、すごくしめつけがあります。

監督:性教育は本当に難しいと思います。国会などでも取り上げられてますね。

Q:私はこの作品を観て、子どもたち力強さというか、大人の無力さを感じました。監督のおっしゃる子どもたちの力強さとは、具体的には、どういうところを描きたかったのですか?

監督:日々新しいこと、障害を乗り越えている子どもたちが、とても遠い所にある「出産」というものを乗り越えるというフィクションを通して、子どもが本来持っている、いろいろな出来事を乗り越えられる力強さを描きたかったのです。親や大人が敵ということではなく、大人と子どものズレを表すことで、普段は気が付いていない子どもたちの力を表現しました。

◆試写会終了後のアンケートより
時として、子どもたちのサイン(SOS)を見落としているのではないかと自問自答しました。
34歳・教諭

子どものそばにずっといる人が撮ったことが解る良い映画でした。
38歳・教員

私たちが思っている以上に子どもたちが、力を持っていることを改めて思い出させてくれる映画でした。
33歳・スクールカウンセラー