10名の女性たちが織り成す、ドラッグ&ドロップミュージカル『ドモ又の死』。
作家・有島武郎(1878〜1923)による同名戯曲を、映画『赤線』『カインの末梢』を、映像プランナーとして数々のステージを手がける奥秀太郎監督がアヴァンポップに描いた、等身大のガールズ・ムービーだ。

14日(土)に初日舞台挨拶が行われ、奥監督、江本純子、三輪明日美、藤谷文子、野村恵里、高野ゆらこ、つるうちはな、柳英里紗、萩尾望都の総勢10名が登壇した。
映画の舞台は古く寂れた更正施設で、反骨的で無愛想なドモ又を演じた江本は「ちょうど2年前に監督から電話で“主演なんです”と出演依頼され、ほぼ即答でした。」と一言。優等生で泣き虫のとも子役の三輪は「結婚して子供を産んでからの作品で、同い年の方の多い現場だったのでのんびりと撮影できました。」、作品の中では男装も披露した、リーダー的存在の花田役の藤谷は「奥が深くて観れば観るほど楽しめる作品です。」、常に心虚ろな澤本役の野村は、「監督に、作品で一番言いたい事を聞いたら、“お墓だった場所が今はすごくきれいな公園になっているというような事を表したい”と言われ、すごい感覚の持ち主だと思いました。」、お調子者の瀬古役の高野は「つるうちさんと部屋の中で発狂するシーンを15分くらい撮って、すごくノリノリだったのに結局使われませんでした。DVDの特典映像ということで(笑)」、作曲を担当し青島役を演じたつるうちは、「監督に、指示を受けているうちにいつの間にかこんな音楽ができていました。もう二度とできない体験です。」、ユカ役の柳は「台本を最初渡された時には意味がわからず、自分ともかなり違った役なので悩みました。」、院長先生役を演じた「ポーの一族」などで知られる漫画家の萩尾は「先日、漫画家の夢枕獏さんに映画に出演する事を言ったら、“僕も『陰陽師』の出演依頼があったけど見栄を張って断ってしまって後悔している”とおっしゃっていたので、こういう体験をして良かったと思っています。」とコメント。
監督は「男子校出身なので、女性に囲まれるというのはひとつの夢でもありました(笑)今日こうして初日を迎える事ができて何よりです。」と喜びを語った。

この日の登壇者以外にも、片桐はいり、大塚寧々を迎えての“10人の女たち”が、白樺派小説の世界の中で魅せる毒に要注意である。

(池田祐里枝)