雨のなか、レッドカーペット。「私はカンヌで雨女」という小泉今日子と「妻がふらせた雨」という黒沢清監督。

黒沢清監督の最新作、「トウキョウソナタ」のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」の正式上映が、フランス・カンヌ現地時間5月17日(土)22:00に行われました。
今年のカンヌ国際映画祭では、唯一の邦画作品。当日は、カンヌではめったに降らない冷たい雨が降りそそぐなか、日本のみならず、世界中にファンの多い黒沢監督作とあって、会場は、黒沢ファンでうめつくされ、熱気につつまれた。
本作で4度目のカンヌ入りをはたす黒沢監督。「ある視点」部門でのグランプリをねらい、キャストの香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海とともに舞台登壇いたしました。香川照之は「TOKYO!」につづき、今回2度目のそして、小泉今日子は初のカンヌ。

本来「ある視点部門」では、ブルーカーペットの上を歩くことになっているのだが、カンヌで最も人気のある監督のひとりである黒沢監督に敬意をはらい、急遽、前日にレッドカーペットを歩くことが決定。雨にもかかわらず、たくさんのファンと世界中のTVクルーが待ちうけるなか、黒沢監督、香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海の5人でレッドカーペットへ。小泉は、事前の打ち合わせはなかったにもかかわらず、夫婦役の香川のグレイのスーツと同色のシックなドレスをチョイス。世界の女優たちに引けをとらない貫禄とファッションセンスで注目をあつめた。そして、上映前の舞台挨拶では、本日の雨という天気にかけて、小泉が「私は、日本では晴れ女ですが、カンヌでは雨女のようです」とコメントし、会場を盛り上がらせた。そして、香川はフランス語でのスピーチで、会場を驚かせた。「黒沢監督の作品のよさをどう伝えようかと、朝5時に起きて3時間くらいスピーチを考えました。」そして、黒沢監督は、カンヌ出発直前に奥様がたおれ、カンヌ入りが危うかったエピソードを話し、小泉の雨女話にかけ、「プライベートなことですが、カンヌ出発前に妻が病気になってたおれてしまい、行けないかなと思っていたんですけれども、妻が絶対に行けといったものですから、今回カンヌに1日だけですが来ることができました。この雨は日本で待っている妻が意地悪して降らしているのかなと思いました」とコメント。みんなでカンヌ入りを喜んだ。上映中は、随所で笑いがおき、上映後は、エンドロールが流れるやいなや、拍手がわきおこり、監督やキャストはスタンディングオベーションに答えた。そして上映後、サインをもとめるファンも殺到した。

コメント
○黒沢監督
Q黒沢コールがすごかったですが、
「いかにもカンヌらしいですね。映画祭は監督を重視してくれるから、そのときだけ監督ってえらいんだって感じられる。」
Qコンペでも十分いけた作品だと思うのですが?
「コンペだと結果とか気にしちゃうんで、これでいいかなとも思います。ただ、これがコンペだともっとマスコミがこの倍くらいはきたかもね(笑)」
「この家族の物語をみて、希望のかけらだけでも感じてもらえればと思いました。」

○香川さん「日本でみたときよりも、この映画がさらに理解できました。世界の舞台でより力が発揮できる作品だと感じました。」

○小泉さん「カンヌは自分とはあまり関係ないところだと思っていました。けど、人々の映画に対する熱気がつたわってきました。」