本国アメリカでもプレミア試写を除き記者会見などの公式行事は一切行われていない、『クローバー・フィールド/HAKAISHA』記者会見、及び架空の存在と言われてきたタグルアト社“SLASHO!”新製品発表会見が、映画と深い関わりがあるとされる日本で行われた。

2日(水)は、J.J.エイブラムス(製作)、マット・リーヴス監督、リジー・キャプラン(キャスト)、マイケル・スタール=デヴィッド(キャスト)、ドリュー・ゴッダード(脚本)が登壇。
本作の大ヒット祈願としてJ.J.が“SLASHO!”で乾杯の音頭をとってから、ついに謎だらけの話題の本作について沈黙を破った。

Q.本作は日本生まれ?
J.J.エイブラムス:子供のころから東宝の怪獣映画で育ち、特に『ゴジラ』は大好き。何年も前に3週間ほど日本に滞在したことがあったが、私は日本(特に東京)に恋をした。本作は、東宝映画が私に与えてくれたすばらしい体験を再現できないだろうかと考えた末、思いついたアイデアなんだよ。だからこの映画は日本に対してのラブレターなんだ。

Q.NYのパニックシーンは9.11を思い起こさせるのでは? この映画を通して1番描きたかったこととは?
マット・リーヴス監督:『ゴジラ』のすばらしいところは、その時代背景を色濃く映し出していたということ。今回、私はアメリカが抱える不安をこの映画を通してどう映し出すかを考えたんだ。

ドリュー・ゴッダード:私たちは9.11の比喩的なものにしようと思っていたわけではなく、恐怖や混乱を象徴するものにはなると思っていたが、そういう状況の中で個人一人一人がどういう優先順位をつけて動くかに着眼してみたんだ。

J.J.エイブラムス:これは第一にエンターテインメント作品だが、早い時期から思っていたことは現実ではありえないような状況をいかにリアルに見せられるかだった。監督とドリューが臨場感溢れるものにしてくれたと思うよ。

Q.他の作品とはやはり撮影方法に大きな違いがあったのでは?
リジー・キャプラン:普通の映画だと待ち時間がかなりあるんだけど、この作品は待ち時間が一切なく休憩もなし。スタッフと一緒に1ショットをとても大事に撮っていったの。大変だったけど、この作品に関わってから他の撮影がとても楽だと感じるようになれたのは感謝すべきことね。

Q.なぜこのような視覚映像にしたのか?
マット・リーヴス監督:最初にJ.J.と脚本家のドリューが本作のアウトラインをくれたとき、まるで『インデペンデンス・デイ』みたいだったから、“僕は基本的には人間ドラマを大事にしたい監督なのに……”と思った。でも彼らから1つのアングルだけで撮ってみたら全く違う作風になるんじゃないか?と提案されたんだ。最初は不安だったけど、新しいアプローチができるのではないかと思って挑戦してみた。さっきリジーが言ったように、1つのカメラしかないから皆ベストを尽くしていたよ。1つのシーンで50〜60テイク撮り続けたこともあった。皆、とても必死になってやってくれ、すばらしい仲間意識が生まれたことは監督としてとても満足しているよ。

J.J.エイブラムス:これは利点が2つあって、1つは怪獣映画だが今まで見たことのない映像が見せられるということ。2つ目は、少ない予算でできたということ。大作映画として普通に撮っていたら2億5千万ちかくかかったのが、私たちのやり方だとビデオで撮影したということもあったし、1つのアングルしかなかったためコストを抑えられたんだ。
また、『ジョーズ』もそうだが見えないものは怖いと思う。これは主人公が危機的状況の中で走りながらビデオカメラを回して撮影するといった内容だから、いろいろなものを撮りそこねる。その見えない部分が恐怖をそそるんだ。

Q.この手の映画だと内容を隠すことがとても重要だと思うが、アメリカと日本の公開に4ヶ月もズレがあるということで、情報がネットを通して広まってしまう恐れはなかったのか?
J.J.エイブラムス:今回、私たちはできるだけ情報を漏らさないよう秘密主義を通した。でも今の時代は情報漏出の恐れが十分にあり、早くから間違った判断をされてしまうことが怖かった。実は私、以前『スーパーマン』の台本を2年がかりで書いていたんだが、それがリークされてインターネット上に出てしまったんだ。それに対する批判的な評が出てしまい、企画事態がボツになってしまったという苦い経験がある。
映画を観た人たちがネット上に書くことは禁止できないが、できる限り海賊版などは防ぎたいね。でも、とにかく劇場でまず映画を体験していただきたいよ。

Q.続編の製作も?
マット・リーヴス監督:すばらしいアイデアがあればね! 話し合いはしているが、まだ具体的なことは出ていないんだ。やるからにはすごくいいアイデアがないといけないからね。日本人キャストも考えているよ。美しい女性がいいね(笑)。でも、1番はどこにでもいるような現実感のある人、そして実生活をうまく表現できる人がいい。

J.J.エイブラムス:今の時点では言えないが、とにかくアイデアはいっぱいあるんだ。僕としては日本で撮影できたら、これほどうれしいことはないね。日本のスタッフ、俳優と良い共同作業ができると思う。それが本作の続編になれば1番いいんだけどね。

(Report:Naomi Kanno)