「空中ブランコ」で直木賞を受賞し、今大変な注目を集めている作家・奥田英明。彼が、直木賞受賞直後初めて世に送り出したベストセラー小説『サウスバウンド』を、森田芳光監督が映画化。『模倣犯』『間宮兄弟』などさまざまなジャンルで人の心に迫るエンターテイメントを送り続けている彼が、原作の持ち味をさらにスケールアップさせ、パワーとソウルあふれる娯楽作品を完成させた。
9/11赤坂にて、10月の公開に先立ち、完成披露記者会見が開かれ、上原家族一家を演じた5人の豊川悦司・天海祐希・北川景子・田辺修斗(子役)・松本梨菜(子役)と森田監督が登壇した。

今回破天荒な、おかしいと思ったら納得するまでとことん闘う骨太親父を演じた豊川悦司だが、いままでの豊川悦司のイメージとは違った役に関して、
「自分でもこれはちょっと今までとは違う役だなぁと思いましたし、実際自分にできるのかという不安もありましたけど、それ以上にそういう役に挑戦できるってことは、一種の冒険やチャレンジみたいなもので、やりがいがありますね」と、いつもとは違う演技ができたことに喜びをしめした。

一方、母親役を演じたのは天海祐希。以前原作を読んでいて、オファーの話しがあったとき、ぜひやらせてください!と思ったという天海だが、この母親も実は、行動力と決断力では父親以上、そして家族に対して包容力をもった母親というクセのある役どころである。
「この役は、自分というよりも、私の母親を彷彿とさせるところがありますね。楽天的で、芯が強くて・・・。でも父親は全然似てませんね(笑)」

二人は、今回が11年ぶりの共演となったのだが、なにかお互いに変わったところはあったのだろうか。
(豊川)「11年ぶりの再開はハグで始まったんですけど、あいかわらずデカイなぁと・・・(笑)」
(天海)「あいかわらず黒いなぁと・・・(笑)」
(豊川)「あと背が伸びてた」
(天海)「そうそう、ほんとに伸びてるんですよ」
二人でオセロかよ!といわれてしまうほど、肌の色には差があった二人であったが、たいへん仲良さそうにこう語った。

さらに、理想の家族について聞かれた二人は、
(豊川)「上原家は社会的にみたら理想ではないかもしれないけど、人間的にみて非常にいい家族だと思います。親子なんだけど人対人という関係でストレートに物事を言い合うし、逆にお互いに助けあうってこともあたり前。そういうところは理想的だと思います」
(天海)「やっぱり、人と人との結びつきがちゃんとあるのが上原家のいいところだとおもいますね」とコメントした。

長女役を演じた北川景子は『間宮兄弟』以来、一年半ぶりの監督との撮影。森田監督は前回の『間宮兄弟』のとき自分でオーディションで選んだ北川に今度はダサい役をやらせたいということでキャスティングしたのだが・・・
「モデル出身ということで、いつも派手な格好とかが多いのですが、むしろこっちのほうが自分に近いかもしれないと思いますね。今度はまた違った役で監督とお仕事してみたいです。」と笑顔で語った。

最後に監督はこの物語に関して、
「安住の地っていうのは、誰もがどこかしらにもっているものだと思っているのですが、今回の映画を見ることで、なにか自分のなかでの安住の地みたいなものを感じていただけたらなあと思います。ただ、メッセージ性をつけるとつまんなくなってしまうので、そういうメッセージみたいなものはありません。ただエンターテイメントとして楽しんで欲しいです」とコメントした。

出演:豊川悦司・天海祐希・田辺修斗・松本梨菜・北川景子・松山ケンイチ
監督:森田芳光 原作:奥田英明(『サウスバウンド』 角川書店刊)主題歌:中島美嘉『永遠の詩』
(C)『サウスバウンド』製作委員会

10/6より全国ロードショー

(Report:Kazuhiro TAKAHASHI)