先日のジャパンプレミアに続き、6月29日主演のダニエル・ラドクリフと製作デイビット・ヘイマン来日記者会見が行われた。

【挨拶】
デイビッド・ヘイマン「本当に言葉を失っています。いつもありがとうございます。私は第1作目からずっと5回日本に来ていますが、プロモーションも合わせて日本に来ることを楽しみにしています。日本のファンの皆さんが本当に応援してくださるので、日本に来るのは私にとって大きな楽しみのひとつなんです。」

ダニエル・ラドクリフ「デイビッドの言った通り、本当に日本のファンの皆さんはずっとサポートしてくれています。昨日のジャパンプレミアでは直接お礼が言えたので嬉しかったです。」

【質疑応答】
Q,これまでにハリーはずいぶん成長しましたがご自身ではどんなところが成長したと思いますか?
ダニエル・ラドクリフ「これまでに偉大な監督たちと仕事をしました。今回のデイビット・イェーツ監督はもちろんそうなんですが、彼のような方から演技の指導を色々していただいてハリーとして演じることが徐々に出来るようになってきたと思いますし、これからもどんどん演技を磨きたいと思っています。俳優として目標としているのは、出来るだけ大げさなことはせず、微妙な演技でリアルなものを表現することなのでそれに近づけていきたいと思っています。」

Q,1作目からダニエル・ラドクリフさんをはじめ、メンバーが成長していく姿を見て心境はいかがですか?
デイビッド・ヘイマン「私たち製作側も監督も映画を観られている方も彼らの成長を見るということが、まずこの映画のハイライトになっているのではないでしょうか。またこれだけの成功を収め、これだけの注目を浴びながら私が一番素晴らしいと思っているのは、いかに彼らが変わらずに来れたか、ということです。演出も含め、人間としても7年間半ずっと見ていますが、彼らの謙虚さ・誠実さというのは全然変わっていません。また、映画に対する情熱というのも変わらないままで非常に素晴らしいと思います。興味というのは最初の頃はプロレスだったり、文学、音楽そして今は女の子にも興味があるようです。(笑)今は私の人生にとって彼らはとても大事な友達だと思っています。」

ダニエル・ラドクリフ「あまり変わらず地に足をつけた状態でいられたのは、デイビッドのような現場にいた方々がサポートしてくれましたし、チヤホヤしたりせず普通の子供として接してくださったので、地に足をつけて来られたんだと思います。」

Q,日本のファンからの手紙は多いですか?
ダニエル・ラドクリフ「日本からは何百、何千とファンレターが届きます。世界中がから色んなファンレターが届きますが、半分くらいが日本だと思います。その手紙がとても美しく、書かれていることも素晴らしく、信じられないくらいサポートしていただいています。以前不思議なプレゼントをいただいたことがあって、全く理解できなかったんですが、大きくなる耳が贈られて来てびっくりしました。」(会場にいたマスコミ陣はそれがマギー審司の耳のことだと分かり笑っていた。)

Q,今回ダニエルさんはキスシーンがありましたがどういう気分でしたか?またデイビットさんはもしダニエルさんがもう一度キスシーンを入れてとリクエストしたらどうしますか?
ダニエル・ラドクリフ「キスシーンについては皆さんに聞かれまして、皆さんおおごとにしていますが実際はたいしたことはないんです。最初の2,3テイクくらいは緊張していましたが、そのあとは他のシーンと同じように撮りました。」

デイビッド・ヘイマン「私自身ダニエルのことを10歳の頃から知っています。そして私以外のキャスト・スタッフも小さい頃から知っているんですが、デイビット・イェーツ監督はそのシーンを撮るときは全員追い払って少人数で撮影し、私たちはモニターで観ていたのですが感動的なシーンでした。目に涙を浮かべているスタッフもいました。おそらく私たちよりも皆さんの方が大げさに考えられていたのかなと思います。ダニエルはあまり自分からこうしたいとは要求せず、与えられたものをこなして自分が最高の演技をするということを心がけていたようです。次の作品ではダニエルではなく、ロンの方がキスをします。」

Q,ハリー・ポッターシリーズは日本の多くの青少年や子供たちにメッセージを送ってきたと思いますが、今回はどんなメッセージが込められていますか?
ダニエル・ラドクリフ「日本のファンレターからもこの映画について友情や忠誠心、勇気といったものをテーマとして受け取ったと書いてありました。そして今回の映画では“強さ”ということがメッセージとしてあると思います。映画の冒頭でハリーは、ヴォルデモートが戻ったことを分かっているけど、多くの人にそれをうそつき呼ばわりされます。でも絶対に諦めず一生懸命真実を伝えようとします。もうひとつのメッセージは“選択する”ということです。ゲイリー・オールドマン演じるシリウス・ブラックのセリフにありますが、“我々は全員に明るい部分と暗い部分があるがどっちを選ぶかによってどういう人間かが分かる”というのが大きなメッセージとして込められています。」

デイビッド・ヘイマン「ファッジの行動を見れば分かるように、自分のやり方しか絶対ではない。他の人の考え方やものの見方は絶対に受け入れられないということは問題であるということと、もうひとつは愛の力です。ハリーは愛されたことによって人を愛することができるので、そういった愛の力というのもこの映画の中では強く語られているところです。」

Q,自分とハリーと混乱して実生活の中で魔法を使おうとしてしまったことはありますか?
ダニエル・ラドクリフ「そういうことはないです。ハリーと僕は全く違う人物なので、撮影中はハリーになりきりますが撮影じゃないときは僕に戻っています。魔法は使いたいと思いますが、残念ながら実際には使えないですからね。でも魔法は使えませんが、トランプの手品は得意です。(笑)」

デイビッド・ヘイマン「もちろんダニエルはハリーとは違いますが、共通点もあります。彼はとても誠実で親切で自分の信じているものに関してはそれに突き進んでいます。そういうところはハリーに似ているかなと思います。」

Q,最後に一言
デイビッド・ヘイマン「今までハリー・ポッターは日本で大きな成功を収めていますし、この成功がこのままずっと続いてくれればいいと思っています。たくさんの劇場で公開されることになりまして、多くの方にこの映画を観ていただくことが出来れば大変嬉しく思います。」

ダニエル・ラドクリフ「多くの劇場で公開されるということはそれだけ多くの人に観てもらえるチャンスなので、特に今回の映画は誇りに思っているしシリーズの中では一番だと思っています。今回監督はデイビット・イェーツで素晴らしい仕事をしてくれました。演技面でもストーリー面でもレベルが上がったと思います。この作品を通してまたハリー・ポッターのファンが増えてくれれば素晴らしいと思います。」

シリーズ5作目にもなり、ハリーと同様に成長してきているダニエル・ラドクリフ。劇中では逞しい演技をし、今までとはまた違った表情を見せているが、会見中の笑顔などを見るとやはり17歳の少年らしい一面がうかがえた。

(Report:Tomoko Koya)