1月7日、『魍魎(もうりょう)の匣(はこ)』製作発表記者会見が撮影場所である東京・日活撮影所にて行なわれた。2005年公開の第一弾『姑獲鳥の夏』から続投となる堤真一、阿部寛、田中麗奈に加え、新たなヒロインに黒木瞳、椎名桔平という豪華なキャスト、原作者・京極夏彦、昨年11月に急逝した実相寺昭雄監督から引き継いだ原田眞人監督が登壇した。

撮影真っ只中のキャストは1952年当時のクラシックな衣装とヘアスタイルで登場。
神主、古本屋の店主、そして“憑物落とし”という3つの顔を持つ男、「京極堂」こと中善寺秋彦役の堤真一さんは、「同じ役ではあるんですが、キャラクターも変わっていますので、監督の遊び心と、そこに乗せられて、どこまでいくんだっていうくらい楽しいので、監督に「もうやめて」と言われるくらいやっていこうと思っています。より楽しい京極堂になっていると思います。」と話す。京極さんの非常にコアなファンにどう応えられたのか?という質問には「前回も言ったんですけど、ファンの方たちに嫌われようと思っていましたので、自分としてはどういう作品においても、原作があるものに関しては、誰がやっても気に食わないものだと思って。みんなやりたがらないからまわってきたみたいな気持ちです。京極堂は知性の象徴だと思うんですけど、自分が知性がないものですから、アドリブが出ないんですね。「アホ」、「ボケ」とは京極堂は言わないだろう。何とかギリギリ、「君」と言うようにしています。」

私立探偵、榎木津礼次郎役の阿部寛さんは、前作は「はじけきれてなかったな」という感想を漏らした。「今回は監督も変わって、椎名さんと堤さんと僕は、実は同い年なんですね。話をしながらこの3人の組み合わせを作っていることが楽しいです。」

小説家、関口巽役の椎名桔平さんは原田監督の作品に出演するのは3本目。「撮影はすごく快調で、これまでとまったく違う原田ワールドを楽しくやっています。素晴らしいものになると思います。ご期待ください。」と話し、「関口は捉えどころのない人物のように思うんですが、自分とは全然違うので、堤さんと阿部さんのキャラクターは突出しているので、なんとか立ち居地を決めています。一番アドリブは使わせていただいています。」

京極堂の妹で編集者、中善寺敦子役の田中麗奈さんは、「前回とちょっと違う雰囲気を出したいと言われましたので、前回の雰囲気を持ちつつも全く新しいタイプの役でやりたいと思って、前回よりコミカルな部分が増え、シリアスというよりも、フッと笑える部分がちょこちょこあります。それがすごく楽しくてやっております。」「お芝居の中に自由があったり、やりとりの中でできたものを、毎回やってみて楽しいし、他の人のお芝居を見ていても楽しいです。」

伝説的な女優、柚木陽子を演じる黒木瞳さんは、「台本を読みまして、その後、原作を読みまして、どうやって映像にするのだろうと素直に思いました。映像になりにくいものほど我々がんばっちゃうものです。私もミステリアスな女優の役、がんばっちゃっております。」と意気込みを語り、「“魍魎”という漢字がやっと書けるようになりました(笑)。」と茶目っ気たっぷりに笑顔を見せた。

原作者の京極夏彦さんは、「頂いた脚本が面白かったので、脚本を読んだだけで楽しみな作品です。原作とはひと味もふた味も違ったエンターテインメント性の高い作品になるだろうと思います。」

原田監督は、「今回は京極ワールドのキャラクターの面白さと、言葉の楽しさ、美しさ、時代背景の東京、空間のパズルの組み合わせをやりまして、組み合わせがピシッピシッと決まって楽しい作業が続いています。」と話し、「上海ロケでは、中国のスタッフ、俳優と一緒にやります、「これが日本と中国との文化芸術的な共同作品としてうまくいきますように、それからニューアジアンシネマの一つのエンタテイメントになりますように。無事に上海から帰ってくればいい作品になると思います。」と語った。

最後に堤さんは「必ず面白い作品にして見せます」と断言した。12月6日にクランクインした撮影は、1月下旬の上海ロケを敢行し、2007年5月に完成予定。公開は2007年松竹・東急系 全国ロードショー!
(M.NIBE)