第40回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で特別表彰と国際シネクラブ賞を同時受賞したのをはじめ、プチョン国際ファンタスティック映画祭2006で主演女優賞、観客賞を受賞。その後も各国の映画祭に招待され続けている、園子温監督最新作『紀子の食卓』の初日舞台が9月23日、K’s cinemaにて行われた。

家族や学校の人間関係に飽き飽きし、東京へ出てゆくことばかり夢見ている17歳の高校生・紀子。“廃墟ドットコム”というサイトを見つけた紀子が家を捨てたことから、一見幸せそうに見えた「家族」という輪は崩壊してゆく……
原案は、『自殺サークル』(01)公開後に園監督自身によって書き下ろされた『自殺サークル 完全版』(河出書房新社)。『紀子の食卓』は『自殺サークル』が示した<ネット自殺>の真相に迫る、「解決編」なのである。

今作品で、プチョン国際ファンタスティック映画祭主演女優賞を受賞した吹石一恵(紀子役)。苦労した点について「感情を抑える場面と爆発させる部分の落差が激しくて大変でした。それと、冬にセーラー服での撮影は寒くて大変でした。(笑)」現場では、監督の存在が、心地よい緊張感を生んだという。「気持ち良い空気感の中で撮影ができて良い経験になりました。」
今作が映画デビュー作となった、紀子の妹・ユカ役の吉高由里子は、「初めての作品がこれで良かったです。共演者も優しい人達で、恵まれてると思いました。観る度に違う感情が生まれる作品だと思うので、2度、3度と観て下さい。私もつぐみさんと観に来ます。(笑)」
慣れない舞台挨拶の為か、言葉に詰るなどの素の姿に、観客からは暖かい笑いが沸き起こった。
家出してきた紀子に影響を与えるクミコを演じたつぐみは、脚本でこれほど面白いと思ったのは初めてだったという。「さすが詩人なだけあって、監督の書く言葉が大好きです。この役を演じることが出来て幸せでした。スタッフ・キャストが魂を込めた作品なので、皆に愛されて、ロングランしてくれるといいなと思います」と話した。
紀子の父役の光石研は「熱い気持ちを持った出演者達だったので、これは本気でいかないと負けてしまうと思い、頑張りました。重層的な面白さがある作品だと思います」同じ歳という園監督については「こんなに出演者に愛される監督はいないのではないでしょうか」とコメントした。
奇跡的なキャスティングだと語る園監督は「それぞれのキャストの演技が感動的で、他の人達が演じていたらこれ程の映画になっていなかったと思います。色々な人に観て良かったと思って貰えれば幸いです」と話した。
(t,suzuki)