ある夜、いつもの地下鉄を降りて階段を上がってみると昭和39年の東京にタイムスリップしてしまっていた真次。彼は、恋人・みち子と共に過去と現在を行き来するうち、自分の知らなかった父親の想いや秘密に気づいていく・・。

直木賞作家・浅田次郎の原点にして頂点と言われる同名小説を映画化した『地下鉄に乗って』の完成披露試写が行われ、監督と主要キャストによる舞台挨拶が行われた。会場となった九段会館は本作を上映するのにピッタリな、レトロな雰囲気が漂う場所。入り口には有人改札が設置され、チケットを切ってもらって入場するという演出が上映前から会場の空気を高めていた。

地下鉄でタイムスリップしてしまう主人公・真次を演じたのは、幅広い演技で人気の堤真一。共に時代を行き来する恋人・みち子に岡本綾。そして真次の父親役には大沢たかお、物語の鍵を握る女性・お時役に常盤貴子といった面々を揃え、映画を作り上げたのはこれまでにも数々の話題作を世に送り出してきた篠原哲雄監督。「映画を観てくださればいろんな時代の風景を通じてそのエネルギーが伝わってくると思いますが、たくさんの方の協力があって完成した映画です。ただあったかいだけではなく、何かずしりと心にしみるものが皆さんの中に残れば嬉しいです。」と語った。

「映画を観終わった後に、親とか兄弟とかいう関係を取っ払って、相手を人と人として見る気持ちになってくれれば幸いです。」と語ったのは堤さん。東京メトロの前面協力があって実現したというシーンは、夜中に地下鉄を自由に動かして撮影したそうだ。
「タイムスリップしたら、自分の親の恋愛や、自分が生まれた瞬間の親の顔を見たい」と語る岡本さんは「出来上がった作品を観て、現代の人間として共感できる作品だと感じました。」と話す。

またこの作品にやりがいを感じたと言う大沢さんは「今まで以上に一生懸命演じました。」と語り、常盤さんは「今までやったことのないような役を楽しみました。今回、作品で描かれている時代や、その役柄設定に参考になるような資料を集めて勉強することが好きなことを再確認できてよかったです。この映画で感じた想いを素直に、大切な人にその気持ちを届けて欲しいですね。」と語った。

気づいていなかった大切なものを探しに、地下鉄に乗ってみませんか?
(umemoto)