いじめにあっていた現実から逃れるためではなく生きるために、かかしの旅は始まった。中学生の居場所は決して学校だけじゃない。世界はもっと広くて、たくさんの人がいる。そして今どこかで生きている人が、きっと君のことを待っている。その人達に会いにいこうとすることが悪いことであるはずがない!
かかしのように一箇所に止まって我慢するだけが君のたったひとつの生き方ではないんだよ、とこの映画は教えてくれる。

舞台挨拶には富永憲治監督、伊藤拓朗役の林瓏、イタヤ役の上原裕也、ラー役の大河、マック役の平尾勇気、ミキ役の岩井七世、宮本あやか役の尾高杏奈、拓朗の母・美佐江役の賀来千香子が登壇した。

富永監督:「監督っていうのは、あまり話さない方がいいんですが今日はスペシャルトークショーということで(笑)今回この映画を作るパワーをくれたのは実際いじめに合っていて私に話をしてくれた子供たちです。いじめには万能薬というものはなくて、一人一人処方箋が違うんです。稲葉真弓さんの原作を読んで非常に重いものが私の中にできて、それをどうにかして消化するために脚本を書いてやっと重いものがふっと抜けたんです。そして、ここにいる役者の皆さんもぼくの厳しい注文に答えてくれて、大切な役割を担ってくれた。それは誇っていいことです。そして私が伝えようとした富山の風、頬を撫でるような風をたくさんの人に感じていただきたいです。」

各俳優陣達も、「ここにいるみんなと、スタッフの皆さんと一丸となって製作した作品です。世の中に実際起きていることと感じて、観て欲しい。」と切なる思いを言葉にした。大人の俳優としてただ一人登壇した賀来千香子は「今の世の中、見苦しい大人が増えています。子供は大人をしっかり見ています。そして、これを見た、今いじめにあっている子供たちにはぜひ観ていただきたい作品です。」と話した。

(ハヤシ カナコ)

3月6日(月)〜3月8日(水)草月ホールにて上映予定
■作品紹介■
『かかしの旅 』