10年前にあった交通事故で、天才数学者の「博士」(寺尾聰)は、記憶がたった80分しかもたない。博士は何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。それが他人と話すために博士が編み出した方法だった。
その博士の元で働くことになった家政婦の杏子(深津絵里)と10歳の息子ルート(√)(斉藤隆成)。2人は、純粋に数学を愛する博士に魅せられ、美しい言葉の意味を知る。博士が教えてくれた数式の美しさ、驚きと歓びに満ちた世界———。

『博士の愛した数式』舞台挨拶が10月29日、VIRGIN TOHOシネマズ六本木ヒルズにて行われた。

良いシナリオと豪華なキャストに恵まれたという小泉堯史監督。観客への初上映を終えて「作品は私の手を離れたので、今度は皆さんの手で育ててもらえればと思います」。小泉監督の前作『阿弥陀堂たより』やTVドラマ「白い巨塔」など数々のサウンドトラックを手がけている作曲家の加古隆。「人の心の温かさや、やさしさを表現しました」。小泉監督は、黒澤明監督の下での兄弟子だという主演の寺尾聰は「心から、素晴らしいと思える共演者と共に、良い作品が作れたと思っています」。数学に関するストーリーということで、小難しそうな映画だと思っていたという浅丘ルリ子は「ずっと前から、監督から出演して欲しいと言われていたので出演しました。私の出演するシーンはとても短くて、撮影時に朝起きてから準備をするまでに4時間程かかり、撮影は1分で終わるという、とても贅沢な作品でした(笑)」との発言に会場は笑いに包まれた。
作品は、2006年 新春第2弾、渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー!
(t.suzuki)

□作品紹介『博士の愛した数式』

◇東京国際映画祭◇
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