91年に第1回が開催されて以来、ユニークで娯楽性の高いガン・アクションのみを対象にしたエキサイティングなインディーズ・フィルム・コンテストと定着してきた“ガン・アクション・ムービー・コンペティション”(通称ガンコン)が、今年でついに第10回を迎えその記念すべき第10回大会の本選会&表彰式が、10月9日にロフトプラスワンにて開催された。当日の天気は昨年に続いて生憎の雨模様だったが、会場には今年も多数の映画ファン、クリエイターが集結し熱気溢れる上映会&本選会となった。今年の応募作品は18作品。この内予選を通過した下記8作品が、予選を通過し上映された。

予選通過作品
『fake』製作団体:Light House
『痛快エロ坊主 〜インターナショナル版〜』製作団体:シネマ愚連隊
『焦燥の果てに』製作団体:MAXIMUM PICTURES
『BAY CITY COP IN KOBE(ガンコンバージョン)』製作団体:チーム T&A社
『神戸遊戯 2 —THE KOBE GAME 2—』製作団体:THEE TEAM-DOGS
『TOKYO LAST BATTLE(ガンコン版)』製作団体:MAXIMUM PICTURES
『PHANTOM PAIN』製作団体:TEAM ASSEMBLAGE
『60 WOMAN 8 MAN』製作団体:POWERPLAY(R)

 以上の予選通過作品から、ガン・アクションマニアのプロの審査員(小峯隆生氏(当日は欠席)、押井守監督、日野康一氏、納富貴久男氏、きうちかずひろ監督、大川俊道監督、石井信彦プロデューサー、加藤和夫プロデューサー、そして特別ゲスト審査員の手塚昌明監督)による白熱した審査の末、下記の各賞が決定した。

特設賞

功労賞
酒井宏幸 ガンコン初期から様々な作品を支えてきた功績に対して

特撮賞
『TOKYO LAST BATTLE(ガンコン版)』製作団体:MAXIMUM PICTURES

CG賞
『fake』製作団体:Light House

常設賞

編集賞
該当作品無し

撮影賞
『PHANTOM PAIN』木下隆之、加納武城

主演女優賞
『神戸遊戯2 -THE KOBE GAME 2-』和田じゅん

演技賞(俳優賞)
『焦燥の果てに』酒井宏幸
『痛快エロ坊主 〜インターナショナル版〜』松本航平
『60 WOMAN 8 MAN』上村愛香

銃器特殊効果賞
『PHANTOM PAIN』富永音夢、樋上孝治

脚本賞
『60 WOMAN 8 MAN』石井博士、笹井隆男

監督賞
『神戸遊戯 2—THE KOBE GAME 2—』弥勒浩二

作品賞
『PHANTOM PAIN』製作団体:TEAM ASSEMBLAGE

 作品賞を受賞した『PHANTOM PAIN』の辻村浩司監督は、はガンコン8でも『SILENCE』で作品賞を受賞済み。続いてガンコン9には前作とは全く異なるテイストの『CAN’T BUY ME LOVE』を出品するも、前作のクオリティの高さもあってかその時は苦戦を迫られたが、今回の作品で見事にその雪辱を果たしてみせた。台詞を一切排除し、スタイリッシュに計算されつくされた作品は、押井守監督からも「ガンコン史上で最高の作品」と高く評価された。

 従来は3人が選出される演技賞部門だが、今年は特別に主演女優が設けられ昨年の『神戸遊戯 1—THE KOBE GAME 1—』でも演技賞を受賞した和田じゅんさんが、『神戸遊戯 2—THE KOBE GAME 2—』でその栄誉に輝き「来年の『3』(現在撮影中)では、皆さんの期待を裏切らないよう、さらに頑張ります」と感激のコメント。BIG SHOT謹製による実際のプロップ・ガンの試射では、ショットガンを右・正面・左と三連射を決め場内を沸かせた。またガンコン応募作全体としても、かつての銃には重きを置くけれど出演女優は妹の友達レベルが主流から、近年は存在感を発揮する女優が出演している作品が増加傾向にあり、今年は特にそうした艶を感じさせる作品が多かったようだ。

 功労賞、演技賞をダブルで受賞した酒井宏幸さんは、これまでも多くのインディーズ・ガン・アクションに出演して来たまさに“ガンコンの顔”。今年も『焦燥の果てに』、『TOKYO LAST BATTLE(ガンコン版)』の二本に出演し、それぞれクールな魅力を発揮している。プロップ・ガンの試射では、酒井さんといったらこれしかないガバメントで決めてみせた。この後は、『TOKYO〜』シリーズのスピン・オフ企画の予定もあるとか。

 『TOKYO BREAK OUT(ガンコン版)』で昨年の作品賞を受賞した石井光司監督は、『焦燥の果てに』、『TOKYO LAST BATTLE(ガンコン版)』という全くテイストが異なる2作品が予選を通過。『TOKYO BREAK OUT(ガンコン版)』に続く“TOKYOトリロジー”最終作になる『TOKYO LAST BATTLE(ガンコン版)』は、変わらぬ緩さを感じさせながらもなんとクライマックスで展開される新宿での怒涛のドッグファイトにより特撮賞を受賞した。

 また上記のほかにも、審査員個人の思い入れ100%の個人賞や協賛スポンサー賞も併せて発表された。その後、門外不出の秘蔵ものを含む特別映像(内容は参加者だけの秘密!)を挟んで恒例となった“全予選通過作品を斬る!”トークショーが行われた。今回も例えインディーズ作品であっても映画の面白さに関しては妥協を許さぬ審査員により、歯に絹を着せぬも親身で白熱した講評が展開された。

 なお、この日に上映された予選通過作品は、下記リンクのガンコン公式頁にて発売中のガンコン10作品集DVD−Rでも見ることができるので、興味を持たれた方は是非それで見て欲しい。また第11回ガンコンの作品募集は、2006年5月頃を予定しているとのこと。その詳細は、下記公式ホームページでの告知に今後注意だ。
(殿井君人)

□公式頁
ガンコン

□スーパーレポート
“ガンコン7”本選会レポート
“ガンコン8”本選会レポート
“ガンコン9”本選会レポート
『KILLERS/Pay Off』きうち組撮影現場レポート
『KILLERS/.50 Woman ハーフ・ウーマン』押井組撮影現場レポート
『KILLERS』初日舞台挨拶レポート

□トピックス
『KILLERS』DVDコメンタリー収録現場レポート