1969年にシンガーソングライターとしてデビュー以後、稲妻のようなエネルギッシュな楽曲から、日だまりのまどろみを思わせるリリカルな楽曲まで幅広いジャンルの音楽をまたにかけ、唯一無二の音楽を作り続ける男・遠藤賢司(通称・エンケン)。はっぴいえんどや四人囃子などトップアーティストたちとの交流もさることながら、近年ではくるりや曽我部恵一、銀杏BOYZ、サンボマスターなどといった若いアーティストたちにとっても神様のような存在としてリスペクトされ続ける伝説の純音楽家であるエンケンが、自らメガホンを取った『不滅の男 エンケン対日本武道館』が10月15日よりテアトル新宿で公開される。自分の楽曲は映画でいうと脚本にあたり、自分の音楽は自分でしか映画にすることはできない!という理由からエンケン自身が監督を努めたというこの作品では、スティングの日本公演が終わった真夜中の日本武道館で、観客が1人もいないなか、富士山に見立てた巨大なアンプの山をバックにススキの原、洗濯物たちなど日本の原風景を思わせるようなステージで1人果敢に武道館と対峙する音楽ドキュメントである。
公開を記念してSHIBUYA-AXでおこなわれたライブイベント「エンケン祭」では、若いミュージシャンたちと組んだバンド「エンケン&カレーライス」、湯川トーベン、石塚俊明との「遠藤賢司バンド」、「曽我部恵一バンド」や「銀杏ボーイズ」といったエンケンシンパ(?)なミュージシャンが駆けつけた。
自身の映画について「一度“監督”って呼ばれてみたかったんです。」とお茶目に語るエンケンだったが、「僕は自分のやりたい音楽、自分が聴きたい音楽しかこれまで作ってこなかったんです。でもそれってすごく難しいこと。なぜならそれは自分自身の創造する魂と常に対峙していなければできないことだから。」という言葉が印象的だ。そんな彼が“武道館との対決”という今回のようなスタイルで映画を作ることを選んだのも大いにうなずける。
 MCで曽我部恵一はエンケンについてこう語った。「エンケンさんに「どうしたらエンケンさんみたいになれるんですか?」って聞いたら、「曽我部くん、好きな女の子がいるでしょ?音楽はその子に「好きだよ」っていうみたいに作って歌えばいんだよ」って、エンケンさんは言っていました。」と春風のようなエンケンのエピソードを語る。また、銀杏BOYZの峯田和伸はこう語る。「エンケンさんは58歳ですけど、猫も60年も生きていれば“化け猫”と呼ばれますけど、エンケンさんはそんな感じですよね(笑)」とある種の妖怪的な側面を捉えて愛情たっぷりに語った。
 ラスト出演バンド全員によるセッションでは、名曲「東京ワッショイ」を熱唱!法被にふんどし姿の男たちに担がれて登場したエンケンを一同で囲んだ。SHIBUYA−AXが割れんばかりの「ワッショイ!」の掛け声とともに会場が一体となってコンデンスされる爽快感が観客たちを包んだ。
 このエンケンパワーをまだ未体験の方も知ってる方も『不滅の男 エンケン対日本武道館』は必見です!
(watano)
 
★『不滅の男 エンケン対日本武道館』は10月15日(土)よりテアトル新宿にてレイトロードショー!

■作品紹介
『不滅の男 エンケン対日本武道館 』