9月18日『深紅』の初日舞台挨拶が行なわれた。会場には月野木隆監督、内山理名、水川あさみ、内田朝陽、塚本高史、堀北真希らが駆けつけた。

原作・脚本は「眠れる森」「氷の世界」「砦なき者」など、ヒットTVドラマの脚本を手がけ、作家としても「破線のマリス」で第43回江戸川乱歩賞を受賞した野沢尚。昨年惜しくも世を去った彼が、自身の吉川英治文学新人賞作である「深紅」を渾身の力を込めて脚本化した遺作である。

ある殺人事件が遺した、被害者と加害者の娘ふたり。心に深い傷を抱えて成長した彼女たちが出会った時、そこに何が起こるのか?これはふたりの揺れる思いを通して、生と死、愛と憎しみ、そして哀しみから再生を映し出す、鮮烈な《マインド・ミステリー》

主人公となる被害者の娘・秋葉奏子を演じたのは、演技派女優として着実に歩みつづけている内山理名。映画を見終わったばかりの観客達に対し「とても爽やかなラストなので、皆さんの視線が気になります。(笑)ミステリーですが、前向きな映画なのでそれを周りの方に伝えてもらえればと思います」

もう一人の主人公、加害者の娘・都築未歩役は、本年度6本の映画出演があり、飛躍的に成長を見せる水川あさみ。「撮影でこの映画館(シネ・アミューズ)の地下のお店を使ったので久々に来て、懐かしいです。皆さんが、第一歩を踏み出せるようなポジティブなメッセージを受け取ってもらえたらと思います」

都築未歩に容赦ない暴力を振るう夫を演じた内田朝陽は「ダメな夫をやりましたが(笑)、殴るシーンは細心の注意を払ったのでその辺は分かって貰いたいです。(笑)役については、妻と仲がいいのにキレルという心情が分からなくて混乱しましたが、監督に相談しながら演じました」

主人公、奏子のつきあっている渡辺拓巳を演じた塚本高史は「普通に生活していたら経験しないようなことだと思います。撮影2日目のキスシーンがありました。良かったかどうかか分かりませんが…こういうこともあるんだなあと(笑)。2回、10回、100回と観て下さい」

小学生時代の奏子役の堀北真希は、家族が殺されて一人生き残ることを演じたことについて「気持ちが入ってくると、奏子と同じ状況だったら、と考えて精神的に苦労しました。自分にとって家族は大切な存在だということを再確認できました」

月野木隆監督は、脚本を手がけた野沢尚について「『深紅』を自分の代表作にしたいと言ってました。彼の意思を引き継ぐというよりも、チャレンジするという意気込みでスタッフ・キャストと共に作った作品です。野沢さんに、喜んでもらえる作品に出来たと自負しています」
(t.suzuki)

☆2005年9月17日、渋谷シネ・アミューズ、銀座シネパトスほか全国ロードショー

□作品紹介『深紅 』