貧しい生まれの少女さゆりが、売られた花街・祇園で苛められながらも名妓に成長するまでを綴った、全米で200万部を超える大ベストセラーの映画化『SAYURI』。究極の映像美と共にさゆりの一途な愛を描く本作が、ついにクランクアップを遂げた。それに伴い、クランクアップ記者会見が東京・有楽町で行われ、会場にはロブ・マーシャル監督(『シカゴ』)、中国を代表する女優ミシェル・ヨーとコン・リー、日本からは桃井かおり、工藤夕貴、渡辺謙、役所広司、子役の大後寿々花が登場した。残念ながら主役のさおりを演じたチャン・ツィイーは他の仕事のため来日を果たせなかったが、それでもアジアを代表する俳優・女優がここまで揃うのは非常に稀なこと。キャストの方々も充実感を感じているようで、「監督にお会いした時、もう少しでひざまづいてお願いしようと思ったほどこの役をやりたいと思った。そして今回素晴らしいキャストと一緒に仕事ができたのはとても貴重な経験」(ミシェル・ヨ—さん)、「こんなにたくさんの人(マスコミ)が駆けつけてくれて嬉しく思います。日本の映画ではこの何分の一だと思いますが(笑)、それだけすごい映画に参加したんだと実感しています」(役所広司さん)と語り、桃井かおりさんからは「コン・リーのすごいファンなんだけど、なめられないように今まで秘密にしてた(笑)」という暴露が飛び出した。

 質疑応答では、日本が舞台ながら多国籍なキャスティングであることや、作中で日本の文化がどこまで尊重されているのかといった質問が。これに対し、「『SAYURI』はファンタジーな映画。細かいことだけにこだわるんじゃなくて、ロブの美学に全権を委ねました」と答えたのは、『ラストサムライ』では日本の描かれ方に厳しく意見を出したという渡辺さん。「キャスト1つを挙げてみても、こんなに豪華なキャスティングは日本では無理だろうし、(日本で)映画化することは難しいと思います」と語り、ロブ監督を信頼している様子を見せた。一方「最初は日本の話なんだから日本の女優でやるべきだと思った」と話した桃井さんも、「ロブ監督は世界を非常に作りこんでいくタイプ。原作はアメリカ人がアメリカ人の目を通して描いたものだから、『SAYURI』はロブのフィルターを通して描いたものなんだと思う。美術や衣装など日本とはちょっと違うものでも、とても美しい」と語った。そしてロブ監督は「歴史上のリサーチや6週間のリハーサル、ダンスのレッスンもやりましたが、1920〜40年の日本をインプレッションして撮ろうと思いました。『シカゴ』も実際の1920年のシカゴをインプレッションしたものですし、舞台の“京都”は“都(みやこ)”としています」と世界観を変えて描いていることを語った。

 作品の中では苛めなど壮絶な争いも描かれるそうだが、会見の間中キャストの方々は頻繁に会話を交わし、仲むつまじい様子を見せていた。『SAYURI』の公開は今年12月予定で、これから編集やアフレコなど完成に向けての作業が進められていくとのこと。豪華かつ華麗な本作の公開日が今から待ち遠しい!

(山本)

☆『SAYURI』は2005年12月全国超拡大ロードショー!