1965年に松竹映画ニューフェイスで映画俳優としてデビューし、何本かの主演後「仮面ライダー」で一躍注目を浴び、その後も数多くのテレビドラマや日本映画で主演し、人気を博している藤岡弘、氏が本日、ハリウッド主演作品「SFソード・キル」DVD発売記念イベントのため、HMV渋谷に姿を見せた。
『ラスト・サムライ』の公開から遡ること約20年前、B級娯楽映画の形をとりながらも、日米の文化、時代のモラルの違いといった二重三重のカルチャーショックを描写したエンパイア・ピクチャーズの記念すべき第1作「SFソード・キル」。渡米する際、身も心もサムライになりきる為に真剣を持参し、またサムライの姿が歪められて書かれていたことに驚き脚本を書き直させたなど数々の逸話を残した藤岡弘、氏に早速お話を伺った。

Q.「SFソード・キル」について
藤岡:「今回DVD発売される「SFソード・キル」は20年前の思い出深い作品です。400年の長い眠りから醒めた侍が現代のロスで蘇る!という話なのですが、まだ日本がそれほどアメリカで理解されていない時期で神秘の国と思われていた頃。だから侍精神や武士道精神を伝えることが一番難しかったです。異文化に対する理解というのはどこの国でも難しいものです。本作を撮るという事で単身アメリカへ乗り込んだが、話し合ってもなかなか分からないのです。そこで、武道の動きを見せようと真剣を持参し彼等の前に竹を置いて一瞬のうちにたち切った事があります。彼らは相当驚いていたが、実演した事によって事がスムーズに進みました。でも、当時は不安や期待やとてつもないプレッシャーがありましたね。そして向こうは細かい事は何一つ言わないのです。でも、チャレンジは受け入れるので才能や技術を試す厳しさを持っている。だから心していかないと大変です。」

Q,その時の真剣は今はどこに?
藤岡:「撮影終了後、不思議な事に消えてしまったのです。どうやら盗まれてしまったようで。盗難事件があった当時は大変もめましたね。私の真剣でしたので、向こうはお金で処理しようとしましたが、私にとっては心のこもった分身です。お金では換えられないと拒否しました。真剣については戻ってくる日を今でも待ち続けています。」

Q.藤岡氏は武道家としても知られていますが精神鍛えるという事では武道もからんできますか?
藤岡:「武道はスポーツと違って精神を重んじるもの。自分の心を収める。己が最大の味方であるし、敵でもある。それが武道家というものです。人を殺めるものでなく人を生かすものなのです。だから争いや戦いはどうやっても避ける。その生き方こそが武士道であるのです。」
戦争や殺人…人間同士の醜い争いが世界中のあちらこちらで頻繁に起こっている今日。侍魂をうまく引き継げなかった私達は、“最大の敵は己にある。人を切るのではなく自分の邪心を切れ!”それを肝に銘じ、真の侍魂を揺さ振り起こして頂きたいと願う。
(菅野奈緒美)

■藤岡弘、氏のアメリカ映画初主演で、1985年パリ国際ファンタスティック映画祭で批評家賞を受賞したサムライSF作品「SFソード・キル」のDVDは、2004年10月29日(金)から好評発売中!