デビュー作『どんてん生活』『ばかのハコ船』そして近作『リアリズムの宿』と一貫して愛すべき情けないボンクラ男たちを描いてきた山下敦弘監督の新作が完成した。今回はなんとあの“妹萌え”アニメの元祖「くりいむレモン」の実写映画化というまったく今までの作品とは趣向を異にするもの。7月27日(火)都内某所で行われた完成披露試写会では、なんと前日完成したばかりという出来たてほやほやの作品の上映終了後、山下敦弘監督、主人公ヒロシ役の水橋研二、亜美役の村石千春、由美役の勝俣幸子、そして山下映画の常連役者山本浩司が登場し舞台挨拶をおこなった。

 はじめてのお披露目、しかも監督にとっては意欲作ともいえる新境地への挑戦に、観客の反応が気になるといった感じで緊張気味の山下監督は、
「アニメがもとになったものなので、いつものようにシナリオを書いているとつい変な方向にいってしまいそうになるので、そっちの方にいかないようにするのが格闘でしたね。」と感想をもらした。
また、主人公のヒロシ役は監督が水橋研二をあて書きして書いたものだとか。
水橋「山下監督とは一度いっしょに仕事をしてみたいと思っていました。こんなに早くそれが実現してうれしいです。映画も今日はじめて見ましたがすごくよかったです。」
そしてヒロイン亜美を演じる村石千春、なんと映画2本目ながらベットシーンなどもあり、堂々たる演技をみせている。
村石「アニメは知らなかったんですが、台本を読んでまずビックリしました。だから不安もいっぱいでしたね。水橋さんとは現場の初日に初めてお会いしました。その時はすごく緊張してどきどきしてて、こわい!とさえ思ってしまうくらい(笑)。でも素敵なお兄ちゃんでよかったです。」
亜美の友人役の由美にはオーディションでキャスティングされた勝俣幸子。
「アニメとは違って、映画の由美ちゃんはあんまり女の子っぽい感じではなくサバサバしているタイプのキャラクターでした。(劇中でメガネをかけてたことを聞かれて)オーディションから“メガネかけてみて”って言われてました。」
そして山下映画には欠かせないこの人!山本浩司も今回短いシーンではあるが濃い(・・・というかなんというか、いかんともしがたい)キャラクターで出演している。
山本浩司「悩んでいるヒロシに、一番失敗しているような人が人生を語っちゃうって役ですね(笑)。」とコメント。いつもと違った胸キュン路線の本作だが、やはりこの人が出てくるととたんにいつもの山下ワールドにひきこまれてしまうから不思議だ。
ちなみにこれから制作に入るという本作の予告編は山本浩司が手がけるという。こちらも要チェック!

 男子諸君にはなじみのある「くりいむレモン」が山下監督によって、ぐっと女の子世界に迫ったものに仕上がっている。恋する二人の間にながれる緊張感をリアルに描きながらも、ところどころコミカルな山下監督の新作『くりいむレモン』は9月下旬よりテアトル新宿にてレイトショー公開!
(綿野)

□作品紹介
くりいむレモン