89年に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」を題材にした渥美饒兒のノンフィクション小説「十七歳、悪の履歴書」(作品社刊)を、あくまでフィクションとして取り上げ映画化した『コンクリート』という映画をご存知だろうか。元暴走族という肩書きをもつ新人監督中村拓、期待の若手俳優・高岡蒼佑を主演に迎えて製作されたこの作品は、銀座シネパトスにて公開が決定していたが、ネット上での痛烈な批判と抗議によってあえなく劇場側から公開延期となったいわく付きの作品。今回、限定上映という形で7月3日から9日までアップリンクファクトリーでひっそりと公開されることとなったが、上映最終日である9日にはこの作品に関する討論会も開催された。こうした実録犯罪映画に対する遺族への配慮はどう考えられるべきか、またネットという匿名での正義を行使しようとする書き込みに対する是否、表現の自由、劇場としてのしかるべき対応など、この作品に限られたことでなくこうした多様な問題は存在する。そういった意味では、この討論会が開かれた意義は大きいだろう。

※DVDは、7月23日発売!

(watano)

□作品紹介
『コンクリート』