誰もが内に秘めた哀しきモンスター『ハルク』ジャパン・プレミア開催!
人間が誰しも持つ怒りの感情が、DNAとの連鎖反応を引き起こし、超絶なパワーを発揮する緑色の巨体のモンスター“ハルク”。全米大ヒットのパワフルで哀しきモンスター・ヒーロー超大作『ハルク』の日本での初披露目となるジャパン・プレミアが、7月15日の夜、多くの観客の期待と興奮の中、賑々しく開催された。
会場となった東京国際フォーラムのロビィは、超巨大なハルクのスタンディをはじめハルク・カラーとでもいうべき、自然を象徴するグリーンカラーで統一され、緑色の布によるオブジェが、緑の光線の中に浮かび上がる。普段はレッド・カーペットであることが多い、セレブ用通路のカーペットも鮮やかなグリーンだ。午後6時半過ぎ、穏やかで満ち足りた表情を浮かべたアン・リー監督と、特殊効果アートディレクターのウィルソン・タン氏が、グリーン・カーペットを踏みしめ登場。観客とマスコミ陣の歓迎の中、これまた緑の光線に満たされた会場の舞台へ。
「新作『ハルク』の紹介で日本に来れて嬉しいです。一杯の観客の皆さん、そしてこのグリーンのライト最高ですね。私はこの作品で特別な経験をしました。予算は使い放題、クリエイティヴな面でのサポートも万全で、キャストもスタッフも最高と、まさに監督冥利につきるものでした。作品を楽しんでください。アリガトウゴザイマシタ」と挨拶したリー監督、サマーシーズン大作は今作が初体験だ。「プレッシャーは確かにありましたけど、ベストを尽くしただけです。アジア系作品は、ミニシアター公開が普通ですが、この作品はビッグ・サイズでありながら、私自身を出せた作品になってます」と完成作への満足感をうかがわせた。
作品の重要な要素であるビジュアル・エフェクトを担当したタン氏も「コンバンワ、ミナサン。ご招待いただきまして、ありがとうございます。また、ダークで複雑で楽しい作品に参加させてくれたリー監督には、心からお礼を申し上げたいです。日本のファンの皆さんは、複雑な作品を好むと聞いておりますので、二度・三度と作品の奥深くまで楽しんでください」と挨拶。『ジュラシック・パーク』よりも大変だったという本作の特殊効果だが、中でもタン氏が大変だったと感じた場面は、ニック・ノルティ演じるブルースの父デヴィッドとハルクが始めて出会うシーンだったとか。「観客に感情移入してもらうための、的確なルックス・パフォーマンスを作り出すのはとても難しかったんです。それらをハルクの目の表情で、父に対する怒り・同情といった複雑な感情を表現するために、CGを駆使したんです」。実際これまでのCGキャラクターとは、けた外れな表情の豊かさを見せるハルクは、心を持ったモンスター・ヒーローとしての一つの完成形とでも言えそうな魅力に満ちているのだ。
また、この日の舞台挨拶ではリー監督の大ファンだという米倉涼子が、花束を持って駆けつけた。感激交じりに作品の感想を述べた米倉は、ハルク・カラーの緑についてリー監督に質問。実はコミック登場当時は、グレーだったという経緯を解説しつつリー監督は「自分にとっては、とても運命的なものを感じるんです。前作は『グリー・デステニー』でしたしね(笑)」と、舞台挨拶をまとめた。
なお、『ハルク』は2003年8月2日より日劇PLEX他にて全国一斉ロードショー!
(宮田晴夫)
□作品紹介
ハルク