今年のカンヌ映画祭で『アカルイミライ』が公開された、世界のクロサワこと黒沢清監督の新作がぴあフィルムフェスティバル2003で公開された。黒沢作品の常連である役所広司を主演に、タイトル通り主人公のドッペルゲンガ−(分身)が現れるストーリーである。しかしこれまでの黒沢ホラー作品とは違って監督自ら「くれぐれも、これはホラー映画じゃないですからね!」と釘をさすように、まったく意表をつく驚きの展開をみせる作品である。上映前舞台挨拶には、監督と主演の役所広司、そして映画初出演の永作博美が登壇した。

役所「黒沢さんの映画には今までに5本出演させていただいていますが、毎回今度はどんな役をやらせてもらえるんだろう?と楽しみにしているんですよ。撮影では、黒沢さんはイメージをしっかり構成されて現場に入っているのでとてもスムーズで早いんです。今回は合成とかそういう作業があったので今までとは違うところがありました。私は黒沢さんの一ファンなんです。」
永作「私も一ファンです。黒沢さんの現場は、監督ご自身のようにスマートでスピーディなんです。最初は映画もはじめてだったのでとまどっていましたが、慣れてくると不思議に居心地のいい現場でした。」
黒沢「現場の居心地がいい、と言っていただいても今までは陰鬱なホラー作品ばかりなので、その楽しい現場が映画の中には反映されなかったんですが、今回はその現場の楽しさが出ているような映画になったと思っています。ホラーじゃないんで、怖いのを期待しないで下さいね!」

☆『ドッペルゲンガ−』は今秋、シネ・アミューズ、新宿武蔵野館ほかにてロードショー!!

(綿野かおり)