2002年東京国際映画祭第15回記念大会に特別招待公式参加作として一番の注目を集めた『Jam Films』がいよいよロードショーを迎える。

テレビドラマ、映画、・・さまざまな映像世界で活躍やまない日本の7人の監督が、ショート・フィルムに舞台を移しての約15分一本勝負。各監督たちにはこの約15分という時間的制約により、長編とはまた違ったよりストレートな表現が要求されたようだ。そしてその結果、個性的なこの監督たちの世界観が作品ごとにぎゅっと凝縮され、しかもその12本を一気に(!)楽しめるという前代未聞のコンピレーション・ムービー『Jam Films』が生まれた。

 岩井俊二監督作品『ARITA』で唯一の登場人物を演じた広末涼子と、『JUSTICE』(妻夫木聡主演)の行定勲監督が、HMV渋谷の6Fイベントスペースにてトークショーに登壇。この稀有で贅沢な作品の撮影秘話などを語った。

Q:『JUSTICE』について
行定監督 ——『GO』で原作者の在日韓国人のアイデンティティーを描いて、「自分のアイデンティティーは?」・・と考えた時、それは、高校時代に授業中にブルマ見てたなーっと。(笑)人間の滑稽な部分とか、日本の平和な部分の断片を描いてます。(『GO』からの付き合いである)音楽担当の「めぐみ.co」にはいつも期待以上のいい仕事してもらっています。

Q:『ARITA』の撮影はどうでした?
広末さん ——360度映るカットのときは監督と二人で撮影しました。CGで後からいれる『ARITA』の模型を監督が作ってくださって、それで動きを確認して、という撮影でした。見えないものの相手をするというところで、そういう配慮をしてくれたんだと思います。岩井監督の空気感が好きでした。

Q:『ARITA』を観てどうですか?
行定監督 ——岩井監督の助監督をずっとやってたんですが、『ARITA』は初期の岩井監督の匂いがすごくする。回帰してる感じもするし、先を言ってる感じもする。岩井ワールドが凝縮されていて、すごく小さな箱庭の中で広い世界を描いているところがすごいなと。

Q:ショート・ムービーに参加した感想は?
行定監督 ——映画に才能ある人間が流れてきていない気がする。時間のかかる映画制作と比べて、短編ではCMなりプロモーションビデオという短いスパンで自分の作家性を映像として提示できる。ショート・フィルムをもっと受け入れることができるようになれば単純に、「ここから始めればいいんだ」ってことになってもっと面白くなると思う。

広末さん ——これから映像の仕事をしたいなって思っている人にとってすごく刺激になると思います。自分にとってもいい刺激になりました。

 映画もコンピレーションなら音楽ももちろんグッド・コンピレーション!エンディングで使用されているMonday満ちる「Visionaire」やトーク中にも出てきた『Justice』のめぐみ.coなど、オムニバス・サウンドトラックとして楽しめる1枚になっている。

なお、『Jam Films』は12月28日より渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋にて、見逃せないロードショー!

(Yuko Ozawa)

『Jam Films』