“有楽町で映画の天使を見つけよう!”をキャッチ・フレーズに、作家性豊かな作品と、魅力溢れる作り手たちを紹介する“新・作家主義国際映画祭”東京フィルメックス。今年で早くも3回を数え、初冬の有楽町を彩るイベントとしてもすっかり定着した感のある、第3回東京フィルメックス TOKYO FILMeX 2002が、12月1日より開幕し、有楽町朝日ホールにてオープニング・セレモニーが開催された。
 「前夜祭から数えると24本の作品を上映させていただきます。今日からの8日間皆さんが、1本でも多くの作品をお楽しみいただけますようお願い申し上げます」林加奈子ディレクターによる開幕宣言に続き、市山尚三プログラム・ディレクターの紹介で、コンペティション部門の審査員で、それぞれ特別招待作品として『アカルイミライ』が上映される黒沢清監督、『幽霊人間』が上映されるアン・ホイ監督、『マラソン』が上映されるアミール・ナデリ監督、そして前夜祭として上映された『黒水仙』や昨年のオープニングを飾った『武士〈ムサ〉』に出演している俳優で、今年のコンペ部門の審査委員長を務めるアン・ソンギ氏が登場。審査員を代表してアン・ソンギ氏が「第3回東京フィルメックス映画祭でオープニングを皆さんと迎えられ嬉しく思っています。今年で3回目ですが、ひじょうに温かくていい作品のある映画祭だと噂が広まりつつあります。これからも、ますます充実した映画祭に発展していくことを願ってます。審査員一同で、東京フィルメックスの精神に相応しい作品を選んでいきたいと思います。私自身も映画祭を楽しみ、楽しい祝祭になりますよう頑張りたいと思います」と映画祭を祝福した。
 さて今年の東京フィルメックスのオープニングを飾る作品は、アレクサンドル・ソクーロフ監督が、エルミタージュ美術館にて撮影した絢爛たるアート・フィルム『エルミタージュ幻想』。映画祭に際しては、アンドレイ・デリャビンプロデューサーが来日し、舞台挨拶を行なった。「この作品は世界的に有名なエルミタージュ美術館を舞台にしたものです。我々がこの一見奇妙で重苦しいような部分もある映画を作ろうとした理由は、何よりもソフーロフ監督を信じていたからです。」デリャビンプロデューサーは、映画を観る観客一人一人の時間を併せたものの壮大さを考えた時、映画はただ面白いだけでいいのかと語ったソクーロフ監督の言葉を紹介するとともに、全篇巧妙なワンカットで撮られている本作だが、観客がそのことに気づかないことを期待すると語った。また、エルミタージュ美術館の館長と、ソクーロフ監督によるメッセージも紹介された。「我々の芸術に対する真摯な愛情を充分にこめて作ったことを理解いただけたらありがたいと思います。ワンカット撮影は目的ではなく、芸術的なイメージを定着させる手段にすぎません」(ソクーロフ監督)。
 なお、オープニング作品『エルミタージュ幻想』は2003年新春第2弾作品として、ユーロスペースにてロードショー公開!
(宮田晴夫)

□作品紹介
エルミタージュ幻想
□公式頁
東京フィルメックス