現役の女子高生であった井上路望が、今時の女子高生が感じる素直な気持ちででイジメ、先生、学校、家族といった題材について真摯に綴ったエッセイ『17歳』が、青春映画の名手今関あきよしの手により劇場用映画として完成、その様々な問題に正面から取り組んだ姿勢に、優秀映画鑑賞会推薦、青少年映画審議会推薦、東京都知事推奨作品に選ばれるなど、高い評価を受けている。本作の完成披露試写会が、9月19日にTBSホールにて開催され、監督、原作者、そして主要キャストが部隊挨拶を行った。当日は、前日に朝日生命ホールで行われたパネル・ディスカッションの模様なども報告され、「映画で(いじめから)救おうと言うものではないが、映画をきっかけに意識して欲しいと思った」(今関)、「いじめという問題が沢山ある中、親も子も学校も悩みながら、皆で改善していこうという方向性が見えて嬉しく思った」(井上)等と会場で今を生きる中高生らと向き合って、感じたことを報告。続いて、映画に関してのメッセージをそれぞれ語った。また、この日路望の兄役で出演した伊崎右典が所属し、本作で挿入歌を担当しているFLAMEの面々も応援に駆けつけ、会場の少女たちから熱い声援を集めていた。

今関あきよし(監督)——公開に先駆けての試写会で皆さんに見ていただくわけですが、色々な意見があると思いますが、それぞれ自分の胸で持ち帰って欲しい映画です。単純に青春映画と言うよりは、井上さんの原作を僕なりのアレンジと言うか、メッセージを強く出したものなので、反感でも共感でもいいので映画を見ながら考えて欲しいと思います。
僕自身は、決してイジメがテーマの映画では正直なく、一人の女の子の自立と成長の物語だと思っていますので、そのあたりが伝われば、飛べそうで飛べない鳥が、やっと少し羽ばたいたのを感じてもらえればいいと思っています。
原作とは3年近く前に出会って、井上さんとも2年半くらい前にお会いして映画化を切望してきたんですが、やっと実現したという意味では非常に感慨深い作品で、キャスティングも非常に悩みました。滝君は14歳で17歳を演じると言う大変なことをしてもらい、逆に忍成君には高校生ではないのに高校生を演じてもらい路望を支える役で貢献してもらいました。理想的でありながら、ちょっと弱いところもあるそのあたりがよかったですね。伊崎君も、忙しい最中にテンション上げてきてもらって、バスケが上手いので滝君に特訓してくれてました。お芝居も熱心で、足が不自由な役ということでハンガーを足にガムテープで固定した状態でバスケを演じてくれました。井上さんは撮影中はずっと現場にいてくれて、滝君を精神的に支えるなどスタッフとしても活躍してもらいました。
観る前に、これ以上何かを言うのもなんですし、白紙の状態で見て感じたことがあれば、周りの方に伝えて欲しいなと思います。

井上路望(原作)——3年前に本が出た当時監督とお会いして、監督が私の作品と出会ってくれたことにまず感謝していますし、映画になり役者さんたちの演じている姿を見て、たかが17の私が書いたメッセージを、こんなに多くの人たちのフィルターを通し形を変え、もっと大きなメッセージにしていただいたことを、本当に感謝しています

滝裕可里(井沢路望役)——路望は自分のプライドを強く持っていて、いじめられても逃げない家族思いの女の子です。私自身まだ14歳なので、17歳は少し背伸びして頑張りました。経験したことが無いことを映画で演じ、色々なことを学べました。。劇中いじめられ海にほおリ投げられるシーンがありますが、そこはすごく寒くて私自身頑張ったので、そこを注目して見てください。

忍成修吾(中島要役)——要役はマイペースで僕に似ているところもあって、でも怒るところは怒る自分の気持ちに真っ直ぐな少年なんですけど、ちょっと弱いところもある役を演じました。撮影は三重県鳥羽市の温泉旅館で行われたのですが、温泉大好きなので幸せでした(笑)。注目して欲しい部分は沢山あると思いますが、撮影の始めの方で僕は酷い歯痛に悩まされてましたので、それがどのあたりか探して息抜きにしてください。

伊崎右典(井沢博保役)——障害の無い人間ですが、ハンディがあっても前向きな路望の兄役を演じさせていただきましたが、ハンガーが凄く痛かったということと、短い時間でしたが監督とも話し、すごく落ち着いて演技が出来たと思います。バスケのシーンでは、ハンガーをものともせずに上手いバスケを見せていると思いますのでご期待ください。

なお、『十七歳』はテアトル池袋、シアターイメージフォーラムほかにて、2002年9月28日よりより全国ロードショー公開!テアトル池袋、シアターイメージフォーラムでは、初日・二日目にゲストによる舞台挨拶も開催される。
(宮田晴夫)

□作品紹介
十七歳