日中国交正常化30周年を記念して、両国で実にさまざまな催しが行われているが、その一環として開催される中国映画祭が18日に開幕。チェン・カイコー監督をはじめとする監督・俳優7名を含む約20名の代表団が参加してのオープニングレセプションが開かれた。
 このレセプションには、日本側のゲストとしてともに中国映画ファンだという谷村新司、田中麗奈のふたりも出席。中国側代表団の劉建中代表団長の
「両国は映画の分野において、交流・合作・製作・人員の養成・シンポジウムなどの面においての顕著な協力関係にある。今回の上映作品から、日本の観客の皆様に中国の歴史・文化・人情などを一歩進んだ意味で理解していただき、中国の一般市民の感性と生活を感じとって頂きたい。中国と中国の改革解放の歩みを知って欲しい」という挨拶に対し、田中麗奈は、
「今回の中国映画祭で、中国映画が日本人にとって更に親しまれるものになると思います。そして、中国映画界と日本映画界の新しい交流のきっかけになることを期待しております」と。また、直後に北京で国交正常化30周年のジョイントコンサートに出演する予定の谷村新司は、アリス時代に10周年のイベントに参加したことにも触れながら、
「明日の朝出発する、そのギリギリのタイミングでこうやって中国の雰囲気に浸れるということを嬉しく思っています。谷村も田中麗奈ちゃんもふたりとも中国映画ファンとしてこれからも応援していきたいと思います」と映画を媒介にした日中の相互理解と交流の未来へエールを送った。

 レセプション後に行われたオープニング上映は、本邦初公開となる『北京バイオリン』(来年公開予定)。舞台あいさつには、今回の映画祭の目玉とも言えるチェン・カイコー監督が立った。
「この映画は、私のこれまでの作品とは違い、現代の普通の人々の生活を描いた映画です。この20年間に中国は経済改革が進み、中国の伝統的な価値観・観念に大きな変化がもたらされた。この映画は、まさにそうした変化の中で、ひとりひとりがどういうふうに状況に向合っていくか、そのチャレンジを描いたものです」
 と語る作品は、バイオリンの才能に秀でた少年と父、憧れの女性、恩師らとの関わりを描いたもので、本国では、監督の夫人で女優のチェン・ホンが重要な役どころで出演したことも話題になった。前作『キリング・ミー・ソフトリー』制作直後の昨年10月に北京でクラインイン、今年の5月と6月に来日して日活と東京現像所で編集・録音作業をし、完成させたとのこと。中国の監督が日本でポストプロダクションをすること自体は珍しくないが、記念すべきこの映画祭のオープニングにそうした制作課程を持つ本作が上映されたことは感慨深いことのように思われる。

 なお、本映画祭は9月22日(日)まで有楽町マリオン朝日ホールほかで開催。現代の中国を伝える日本未公開の長編7本にドキュメンタリーとアニメーションなどの短編を加えた30本の映画が上映される。(みくに杏子)

□中国映画祭公式サイト
 http://www.china-ff.com