アーケドゲームから過程へと一大革命を起こしたシューティングゲームの金字塔『XEVIOUS』が、ゲームとは異なる物語を斬新なCG映像で描いた劇場版作品として完成。元気のいい日本映画を応援する“ガリンペロ”アニメーションの第2弾として、8月10日よりロードショー公開がスタートした。
 初日の初回上映後、本作のそれぞれの部門で心血を注いだクリエイター達が来場し、本作の舞台裏や、観客の中に数多くいたであろうこの仕事を目指す者へのプロからのアドバイスを聞かせてくれた。

清野一道氏(プロデューサー・監修)——『XEVIOUS』は元々ゲームとして広がっていきましたが、今回は映画版ということで全く違う物語になっています。
元のゲームは世界中のゲーム界に新しいヴィジュアルを流し込んだ画期的な作品でしたが、10年が経ち今後の展開を考えた際に、ゲームだけではなく違う世界に足を踏み入れてもいいのではないかと、「ワン・ソース、マルチ・ユース」という形での実験をしてみたいということで考えました。ナムコのCG技術を使い全く違うジャンルに飛び込み、またスタッフもゲームと関わりの無い人を集めてゲームと違う息吹を吹き込んで、一つの世界を作っていこうという形で進めていきました。
映画化にあたっては75分と言うかなりの量をどう描くかにあたり、キャラクターを動かすにしても様々な手法を使い乗り越えていこうとしました。
現在メディアが各ジャンルで共通するようになってきているので、それぞれが違う形で映像や音を作る時代ではなくなってきたと思います。だからこそ、映像でいえばモンタージュなどの基礎勉強が大事になって来ているし、それがエンターテイメントを発展させる道ではないかと思います。若い皆さんが、ジャンルを超えた活躍をする時代が来ることを祈っています。

高野裕規氏(キャラクター演出)——こうした作品を劇場で公開するのはなかなか難しく、一時はどうなることかと思いましたが、皆さんに見ていただけて光栄です。
メカニック演出は小川正晴氏が担当し、キャラクターを動かすのはパペットというシステムを使い、通常レンダリングしていく過程をリアルタイムでというような冒険的で誰もやったことの無い様々な技術を組み合わせていくことが大変でした。また通常の映画のように全体の演出を仕切る監督はおかず、各部門の担当が仕切るエキスパート・システムも実験的なものだったので、大変でしたが可能性を感じることができたと思います。
CG映画やデジタル・シネマはまだそれほど歴史が無いので、どんな作品でも技術面で挑戦していると思います。観客として楽しむのであれば、面白いか否かでいいと思いますが、これからこの世界を目指す方には、何かしら可能性やヒントが伝わればいいと思います。

鈴木朗氏(設定ボード)——作り手の私達も充分楽しんで作った作品なので、皆さんも楽しんでいただけると思います。
本作では通常の美術とは異なる変則的な関わりをしました。通常ですと、美術が全ての舞台デザインを行いますが、今回はほとんどが宇宙に関係する場面ですので、小川モデリングとの連携無には作りえません。それで、小川モデリングの出してきた基本スケッチに私の考えを加味し、双方のやりとりを通して舞台全体の美術ボードを作っていきました。その際、CGで生かしやすい雰囲気作りやCGだからこそ出来る絵柄を求め、頑張りました。
CG映画は一般的になってきましたが、絵筆を持って絵を描くようなところのよさも、これからアニメの中で活かしていかなければならないと思っています。

長池秀明氏(音楽制作)——音楽もそうですけど、映像も楽しいです。僕もこういう形では未だ見てませんが、これから見たいと思います。
僕自身もゲーム版で遊んだ方なのですが、音楽は僕が一番好きなSF映画…ルーカスが撮っている作品のようにしたいというのがありましたが、ルーカスの作品の音楽が生でやっているのに対し、僕の場合はコンピューターで作っていくということで、フレームごとに音をつけていくやり方をしています。すごく細かい所に音をつけている場所と、単純に目で見て判るところにつけている場所とがあります。後はSEを担当した方と、気持ちの悪い音が出ないようにという点を配慮して作りました。
想像力が全てだと思いますが、世の中に色々な音がありそれをどう聞くかということが、いい音をつけていく上ですごく大事なことで、絵を見て様々な音を想像していけることが、楽しく前向きに生きれることではないかと思います

なお、『XEVIOUS【映画版】』はテアトル池袋にて、2002年8月16日までロードショー公開中!
(宮田晴夫)

□作品紹介
XEVIOUS