“生きることはすばらしいこと”映画『DOG STAR』初日舞台挨拶
2002年4月27日より、テアトルタイムズスクエアにてロードショー公開の映画『DOG STAR』。その公開初日舞台挨拶が、テアトルタイムズスクエアのオープン日でもある同日同劇場で行われた。
今回は、ゲストとして出席した豊川悦司、井川遙、津田健次郎ら出演俳優と瀬々敬久監督のコメントを紹介する。
瀬々敬久(監督)
数日前にこの映画館に来て、ものすごく大きいスクリーンに驚きました。こんな大きなスクリーンで上映するとは思ってもいませんでした(笑)。
作品中、たくさんの人が死んでいる映画ですが、この作品で伝えたかったことは「生きることはすばらしいこと」ですね。人は誰もいつかは死が待っていますが、死を恐れて生きていくより、今の生を充実して生きていったほうがいいのではないか?ということです。
豊川さんは、豊川さんが命名したように「犬人間」になりきっていただき、僕はイタコ系俳優って言っているんですけど(笑)、本当に犬が乗り移ったような演技をしてくれました。井川さんは、泉谷しげるさんや石橋凌さんらクセのある俳優さんを相手に演技をしないといけないので、大変だったと思います。
津田くんの演技で好きなのは、最後の雨の中でアパートの前で待っているシーンです。ちょうどその撮影の前日に相米慎二監督が無くなったのと重なって、そのシーンが印象に残っています。
豊川悦司(シロー 役)
実際に犬を飼っていて普段は撮影現場には連れていかないんですけど、今回は連れて行って「うちの犬だったら、こういうときどんな表情をするだろうか?」とか想像しながら、人間の姿をした犬の役を演じました。そういう意味では、うちの犬にもずいぶんと手伝ってもらいました。ギャラを分けないといけないかもしれませんね(笑)。
動物や子供は感情をストレートに出すもので、それが大人になっていくごとに見返りを求めるようになったりするものです。だからこそ、動物の気持ちは人間にも伝わりやすいと思うし、それがシローの役のキモじゃないかと思います。とにかく、ハルカのことをずっと考えて、後は走るということを考えて演技しました。
井川遙(ハルカ 役)
初日ということで、今日はドキドキしながらここに来ました。この映画は、夏の暑い日差しの中で撮ったんですけどすごくいい思い出で、いい現場に参加させていただいたことに感謝しています。
最初台本を読んだときは、「自分なら、犬の人を愛せるだろうか?」と思いました。でも、豊川さんの演技は犬でしかなかったので(笑)、安心して演技をすることができました。
印象に残っているのはいろいろありますが…喫茶店でサンドウイッチを食べているシーンでは本当に犬が食べているようで、テストのときからたくさん食べられていたのを見て、「プロの俳優さんはすごいなぁ」と思いました。
津田健次郎(藤川 役)
あまりいいことがない今の世の中では、こういうちょっといい話を見るといいんじゃないかと思います。
一番最初に、自転車に二人乗りで走るシーンがあったんです。そこで初めて井川さんとお会いしたんですけど、その日はよく晴れていて田園風景が広がっていて「なんて爽やかな人なんだろう」と思いました。そんな風に爽やかなカップルだったんですけど、藤川は最後には屈折感にまみれた役になっていくので、そのへんの距離感が二人でどう出せるかと思いましたね。